ランボオとスモーキング

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

ランボオは、フランスの天才詩人ですよね。
アルチュール・ランボオ。1854年10月20日のお生まれ。
16歳で有名な『母音』を書いています。日本でも中原中也や小林秀雄なども、ランボオの影響を受けているそうです。
「Aは黒、Fは白、Iは赤、Uは緑、Oは青……」
たぶん母音に色のあることを詠んだ最初の詩人かも知れませんね。
『母音』をさらに敷衍して、と言えば良いのか。
「ハープは白、ヴァイオリンは青、フルートは黄、オルガンは黒……」
そんなふうに詠んだ詩人もいるとか。さらに、さらに。
「キュラソーの味はクラリネットの音色、アニスの味はフルート、キュンメル・ブランデーの味はオーボエ、ジンの味はコルネット、ウイスキーの味はトロンボーンの味……」
これはユイスマンスの詩の一節なんだそうです。
今、厨川白村著『近代文学十講』を眺めているところなんですが。厨川白村の本名は、厨川辰夫。京都に生まれたフランス文学者。晩年は鎌倉にお住まいだった。大正六年には、京大教授にも。
フランス文学者の一方、『近代の恋愛観』の著書もあります。恋愛至上主義を説いた内容で、たちまちベストセラーになった本です。
昭和四年には『厨川白村全集』が出ています。この中に厨川白村自身の正装の写真が添えられているのですが。
白いドレス・シャツに、ブラック・タイ。つまり、ディナー・ジャケット。フランス文学者としては、「スモーキング」でしょかうか。そのスモーキングの仕立てがあまりにも完璧で、ため息が出てしまいます。大正末期にはそんな名人がいたのでしょうね。
明治末から大正末にかけての文学者では、厨川白村は第一のダンディだったかと。
スモーキングを着て。ランボオの詩集でも開きたいものですが……。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone