杢太郎と三つ揃い

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杢太郎といえば、木下杢太郎でしょうね。
木下杢太郎の本名は、太田正雄。本業は、お医者さん。お医者さんで作家というのは、案外多いんでしょうね。
木下杢太郎は大正十年から、ヨーロッパに留学しています。もちろん、医学の勉強に。パリやリヨンで、学んだんだそうです。
その一方で、多くの詩も書いています。ヨーロッパでの体験もあって、ハイカラな内容が多くあります。

十月の果実( このみ) のかをり 汝が胸の麝香
鮮やかな沢山のcuraçaoの抒情のにほひ

curaçao。杢太郎はたぶんヨーロッパで出会っているんでしょう。キュラソーの出てくる詩は他にも、いくつかあります。
キュラソーはカリブ海の、キュラソー島と関係があるんだとか。キュラソー島のオレンジをオランダに送って。それをもとに造ったリキュールからはじまったと、考えられています。
リキュールはたいてい薬草のエキスを原料として造られる。果実によるリキュールは、キュラソーがはやいんだそうですね。
キュラソーの出てくるミステリに、『メグレと幽霊』が。1930年代に、ジョルジュ・シムノンが発表した物語。

「キュラソーはいかが?」

ある富豪の屋敷で、薦められる。メグレは結局、スコッチを飲む場面。また、こんな描写も。

「肩台( パット) をいれていない、軽い布地仕立ての三つ揃いを着ていたので……」

これは美術評論家の、エド・ゴランの着こなし。
軽い仕立ての三つ揃いを着て。杢太郎の本を探しに行くとしましょうか。

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