アステアといえば、フレッド・アステアでしょうね。
フレッド・アステアと、ジンジャー・ロジャース共演のミュージカル映画に、『踊らん哉』があります。原題は、『シャル・ウイ・ダンス?』。シャル・ウイ・ダンス?を日本語に移して、『踊らん哉』。上手いもんですね。
『踊らん哉』の作曲はほとんど、ジョージ・ガーシュイン。当時、ジョージ・ガーシュインは人気者で。
映画界ではガーシュインに映画音楽を作ってもらいたかった。「でも、流行歌なんてバカにしてるんだろうな……」。ハリウッドのこの噂はNYのガーシュインのもとにも。で、ガーシュインはハリウッドに電報を打つ。
「ウワサハ バカゲテイル リュウコウカ ツクリマショウ」
それで『踊らん哉』の曲を作ることに。ガーシュインは兄弟でビヴァリー・ヒルズに一軒家を借りて移り、ここで曲作りを。フレッド・アステアはよくここを訪ねて、試作中の曲を口ずさんだりしたという。
『踊らん哉』のひとつに。
世界が丸いといったとき
みんなはクリストファー・コロンブスを笑った……
という歌詞があります。歌詞はもちろん、アイラ・ガーシュイン。
アイラ・ガーシュインはいつだかパリの、トゥール・ダルジャンに行った時。なるべくフランス語らしく聞こえるように、フランス語で料理を注文した。と、まわりのフランス人が笑った。
アイラ・ガーシュインをそのことをそのまま絵葉書に書いて、出した。どうもそれが頭にあったらしい。
『踊らん哉』は、1937年の公開。1937年NY州、ロング・アイランドに生まれたのが、ピンチョン。トマス・ピンチョン。顔写真などもいっさい公表しない、秘密めいたアメリカの作家。
ピンチョンの代表作に、『ヴァインランド』が。この中に。
「おしゃれなフレームのサングラスをかけ、パステルカラーのチェックのシャツはターンブル&アッサーのブランドもの……」
「おしゃれなフレームのサングラス」。どんなスタイルなんでしょうか。
とりあえずお気に入りのサングラスで。アステアの古い映画を探しに行くとしましょうか。