ヘミングウェイとシルク

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ヘミングウェイについての説明は不要ですよね。アーネスト・ヘミングウェイ。アメリカの、作家。
ヘミングウェイが生まれてのは、1899年7月21日。お父さんの名前は、クラレンス・ヘミングウェイ。医者でした。外科医。
クラレンスは外科医だったのですが、その一方で野外生活の好きな人でもあったようです。ミシガン州、ワルーン湖畔に別荘があって。毎年の夏は、このワルーン湖のサマーハウスで過ごすことになっていたという。
アーネストは幼い頃から、父のクラレンスから、アウトドアの手ほどきを受けていたんだそうです。少なくともアーネストが三歳の時に、釣りをしている写真が遺っています。釣りは言うに及ばず、小説の中にもアウトドアの話が出てくるのは、この夏の別荘と無関係ではないでしょう。
ヘミングウェイが1920年代のはじめに書いた短篇に、『ぼくの父』があります。もちろん「小説」ですから、「父」は騎手という設定になっています。騎手の息子が物語の語り手なのです。この中に。

「ぼくは、父がブーツを脱ぐのを手伝ってあげるのだ。すると、父はスニーカーにはきかえて……」。

「スニーカー」は純然たるアメリカ英語。アメリカで生まれ、アメリカで育まれた言葉。小説の中に描かれた「スニーカー」としては、比較的はやい例かも知れませんね。
ヘミングウェイはアウトドアのほか、闘牛にも興味を持っていて。1932年には『午後の死』を発表しています。『午後の死』は闘牛を描いた物語ですね。
1932年に生まれたのが、ロバート・B・パーカー。ロバート・B・パーカーが1986年に発表したのが、『海馬を馴らす』。この一節に。

「私は、ジーンズにランニング・シューズ、グレイの袖なしTシャツ、グレイのシルク・ツイード・サマー・ジャケットを着て……」。

「私」が、私立探偵の、スペンサーであるのは、言うまでもないでしょう。
さて、なにかサマー・ジャケットを着て。古いヘミングウェイの本を探しに行くしましょうか。

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