ボンドとマフラー

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ボンドで、秘密諜報部員で、といえば。ジェイムズ・ボンドでしょうか
ジェイムズ・ボンドの登場は、1953年のこと。今から60年以上前の話になります。ボンドの第一作は、『カジノ・ロワイアル』。著者はもちろん、イアン・フレミング。『カジノ・ロワイアル』は大好評で迎えられる。この『カジノ・ロワイアル』を読んだひとりが、レイモンド・チャンドラー。
イアン・フレミングは1908年の生まれ。レイモンド・チャンドラーは1888年の生まれ。ちょうど二十年の開きがあるんですね。

「私はフレミング氏が、みすみすアクロバット作家とならないようにお願いしたい。でなければ、彼はただの、わたしたち並の作家として終るであろう。」

日頃、辛辣だったチャンドラーとしては大絶賛と言って良いでしょう。イアン・フレミングはこの批評に気をよくしたのかどうか、チャンドラーとしばしばロンドンで会っています。
フレミングはフレミングで。「チャンドラーは私に、君は野獣性が強すぎる、なんて言ってたよ」。
と、述懐しています。
チャンドラーはフレミングとロンドンで食事する時、決まって蝶ネクタイを結んでいた。紺に白の、水玉模様の。そして、いつでも手袋を嵌めていたそうです。
イアン・フレミングがボンドの第四作目の『ゴールドフィンガー』を発表したのが、1959年。
同じく1959年のミステリが、『メグレと口の固い証人たち』があります。もちろん、ジョルジュ・シムノン。この中に。

「メグレは自分のオフィスに入り、戸棚に外套と帽子と例のマフラーをひっかけたが………」

これはある月曜日の朝。メグレが出勤した様子。時は11月で、パリの街には雨が。
「例のマフラー」とは、メグレ夫人が編んでくれたとても厚い、毛糸のマフラー。いいですね、手編みのマフラー。
なにかお気に入りのマフラーで。古い「ボンド物」を探しに行くとしましょうか。

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