風呂と帽子

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風呂にゆっくり入るのは、気持の佳いものですね。
風呂の好きだった写真家に、キャパがいます。ロバート・キャパ。キャパは風呂が好きで、ミステリが好きで。その当然の結果として、バスタブの中でミステリを読みふけったという。
風呂が好きだった画家なら、ボナール。ピエール・ボナール。一日のうちのかなり長い時間を風呂で過ごしたそうです。ピエール・ボナールがバスタブでミステリ読んだのかどうかまでは知りませんが。
ボナールが風呂ともうひとつお好きだったのが、朝食。まさか朝食が嫌いというお方はいないでしょう。でも、ボナールは何枚も「朝食」の絵を描いているのです。それもほんとうにカフェ・オ・レの薫りがこちらまで届いてきそうな、幸せな朝食の光景を。
ボナールは1925年に南フランスの、ル・カネに移り住んでいます。1947年に世を去るまで、ル・カネを愛した人物なのです。どうもル・カネの自宅は広い庭に面して食堂があったらしい。朝の光、樹々の緑を背景に「朝食」が描かれています。ボナールは1931年にも、『朝食の部屋』を描いています。
1931年にシムノンが発表したものに、『メグレ対怪盗』が。この中に。

「英国一流店製のグレイのソフトを………」

これは、ピートル・ル・レトンの帽子。レトンは一分の隙もない洒落者として描かれています。想像を逞しくすれば、パール・グレイのソフト・ハットだったでしょうか。

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