バックとプラストロン

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バックという名前は多いのでしょうか。
バックは、犬の名前。時代は、十九世紀のアメリカ。
セント・バーナードと、コリーの雑種として生まれて、「バック」と名づけられた犬。それはそれは幸せな日々を送っていたのですが。ある時、さらわれて、雪橇を曳く犬となって。いかにして犬橇のリーダーになるかを学習する物語。
それからいろんなことがあって。結局は野生の群れに戻ってしまうストーリー。ただただ、感動があるのみです。もちろん、ジャック・ロンドン作の『野生の呼び声』。1903年に出版されて。初版の一万部は、その日に売り切れ。動物小説の偉大な傑作として、今なお人気の高い物語です。「バック」は犬なのですが、ほとんど人間と同じように考えて、同じように、行動する。ここで誰もが涙するのでしょう。
1903年に生まれたのが、ジョルジュ・シムノン。ベルギーのリエージュで。言うまでもなく「メグレ警部」の生みの親ですね。ただ、ジョルジュ・シムノンは多作の人でもあって。「メグレ物」以外にも多くの小説を書いています。たとえば、『モンド氏の失踪』とか。この中に。

「真っ白なワイシャツの胸当てのタキシード姿は申し分なく………」

これは、ルネ氏の着こなし。「胸当て」には、「プラストロン」とルビが振ってあります。
日本で「イカ胸」、イギリスで「スティフ・ブザム」。それをフランスでは、「プラストロン」。
正装用のシャツの胸を堅く糊づけして。「ここは下着ではありませんからね」と、言うためのものですね。

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