アレクサンドリアという名前のカクテルがあるんだそうですね。もっとも今は、アレクサンダーお呼ばれることが多いんだそうですが。
アレクサンダーの前には、「アレクサンドリア」だったそうです。カクテルの「アレクサンドリア」は、1863年の英国に遡るんだとか。1863年の3月に、英国皇太子は、デンマーク国王の姫、アレクサンドリアと結婚。これを記念して考えられたので、「アレクサンドリア」の名前があります。
アレクサンドリアは、ブランデーを基にしたカクテル。ブランデーに、クレーム・ド・カカオと、生クリームを加えて、仕上げる。どちらかといえば、レディ向きのカクテルとも言えるでしょうね。
1962年の映画、『酒とバラの日々』に出てくるカクテルでもあります。ジャック・レモンと、リー・レミックの共演。「あら、私、お酒飲めないわ………」というリー・レミックに、ジャック・レモンが、「じゃあ、アレクサンドリアでも………」と薦める場面がありますね。
小説に出てくるアレクサンドリアとしては、『ヴェニスの街のなんと哀しきー 」があります。
「ゆっくり味わったアレクサンドラはすばらしく、彼女は最高の気分を味わった。」
1979年に、フランスの作家、ソランジュ・ファスケルが発表した短篇集のひとつ。これを飲むのが、ヴェニスの「ハリーズ・バア」という設定になっています。
1979年にヴェニスを訪れたのが、吉行淳之介。この旅の記録は、『ヴェニス 光と影』に収められています。吉行淳之介のヴェニスでの旅の様子を記録したのが、篠山紀信。この豪華な写真集でもある『ヴェニス 光と影』の装本が、和田 誠。本自体も絢爛なら、役者もまた、絢爛ではありませんかヴェニスで泊まったのが、「オテル・ダニエリ」というのですから、文句なしでしょう。
では、吉行淳之介、ヴェニスの旅で、何を着ているのか。黒い、シャツ。ほとんど黒かと思われる紺のスーツに、黒いシャツ。どの写真を見ても、黒いシャツ。信念としての、黒いシャツ。
まあ、このくらいの思い込みで着るなら、たいていのシャツが自分のものになってくるんでしょうね。