フラスクとフリル

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フラスクといって想い出すものに、ポケット・フラスクがありよね。小型の、携帯用の、酒壜を。たとえば銀製だとか、たとえば硝子製だとか。
ポケット・フラスクはよくヒップ・ポケットに入れたりするので、「ヒップ・フラスク」とも呼ばれるみたいですね。だからごく自然にカーヴがつけられていたり。
ポケット・フラスクに入れておきたいものは。ウイスキー、ブランデー、ジン…………。もちろん、これも好みの問題ではありますが。

「男はグラブ・コンパートメントから銀色のフラスクを出し、女の渡した。女は二度呷って、男に返した。「ああ、おいしい」 」。

この場合のフラスクには何が入っていたのでしょうか。「女」は、レディ・ヘレン・ラングという貴族という設定。ジャック・ヒギンズ著『ホワイトハウス・コネクション』の一節なんですね。
『ホワイトハウス・コネクション』の主人公は、ショーン・ディロン。アイルランド生まれのタフな男ということになっています。
ショーン・ディロンは当然のように、アイリッシュ・ウイスキーがお好き。それも、「ブッシュミルズ」という銘柄がお好き。「ブッシュミルズ」は、1608年の創業というのですから、古い。サー・トーマス・フィリップスがはじめたんだそうですね。『ホワイトハウス・コネクション』にほ、こんな場面も。

「ルーサーは青いビロードのイブニング・スーツに襞飾りのついたシャツを華麗に着こなして、大統領とヘンリー・ソーントンを出迎えた。」

チャド・ルーサーは、アメリカ、テキサス州、チャールズヴィルの生まれなんですね。ある日、突然、地所から石油が噴き出して、今や大富豪となった人物。ロング・アイランドに大邸宅を構えるご身分。だから、イヴニング・スーツに、フリルのシャツなんですね。
さすが、英国人のジャック・ヒギンズは観察が細かいですね。
もちろん時と場合によっては、フリルのドレス・シャツもあって良いのです。ほんの少しアメリカ的ではありますが。

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