ステーキとスモーキング

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ステーキは美味しいものですよね。ステーキもまた、煩いことをいいはじめれば、際限のないものでしょうが。まあ、それはともかく。ステーキに、何を添えるのか。これも、好みなんでしょうね。
ステーキにはコーンを添えたい、という人があります。ステーキにはえんどう豆でなくては、という人も。それから、ガーリックが絶対と、譲らない人もいるでしょう。人の好みは、様ざまで。
でも、ステーキにポテトはよくあることでしょう。たとえば、拍子にに切ったフライド・ポテトとか。時によってはポテトのはうがステーキよりも美味しかったりして。ステーキにポテトは、世界的な傾向みたいですね。
日本でも明治の頃から、ステーキにはポテトと決まっていたらしい。もっとも明治の時代には、「ビフテキ」と言った。ビーフ・ステーキから「ビフテキ」の言葉が生まれたのでしょう。
有名な『牛肉と馬鈴薯』にも、「ビフテキ」が出てきます。明治三十四年に、國木田獨歩が発表した小説。

「しかしビフテキに馬鈴薯は附属物だよ、」

という科白が出てきます。「附属物」の横に、「つきもの」とルビがふってありますが。
戦前にビフテキを食べた人に、芹沢光治良がいます。

「昼、風月で食す。一ケ月ぶりでビフテキを食べる。その肉片たるやうすく小さくて、すきやきの肉片の如し。しかし牛肉のうまかったこと。」

芹沢光治良著『戦中戦後日記』の、昭和十七年十月十二日 ( 月 ) のところに、そのように書いています。昭和十七年は戦争が厳しくなった時代で、すでに食糧不足になっていたのでしょう。
芹沢光治良著『愛と知と悲しみと』の中に。

「女は白い洋服の裾を長めにひき、男はスモッキングで、昼間北京の街で見かけない人々であった。」

戦前の、北京での様子。「北京飯店」での食事に集まった男女の服装。「スモッキング」は、おそらく「スモーキング」のことかと思われます。もちろん、イギリスでいうところの、ディナー・ジャケット。フランスをはじめ、ヨーロッパでは「スモーキング」と呼ぶことが多いみたいですが。

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