シンプソンズとシャークスキン

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シンプソンズは、説明の必要がありませんね。ロンドンを代表するレストランともいえる老舗であります。
なんでも、あのコナン・ドイルも「シンプソンズ」の常連だったとか。少なくとも「シャーロック・ホームズ物」にも「シンプソンズ」が出てくること、間違いありません。
「シンプソンズ」、そもそものはじまりは、1828年のことなんだとか。「グランド・シガー・デヴァン」という名のチェス・クラブが前身。ここで出されるロースト・ビーフが極上だったので、今のレストランになったんだそうですね。
ロンドンに行って、サヴォイ・ホテルに泊まって、シンプソンズで食事。これは夢のまた夢でありましょう。
この夢を実現する小説が、『カクテル・ウエイトレス』。ジェイムズ・M・ケインの物語。

「ウエイターはローストビーフを持ってくるとスライスしてくれた。」

これはアメリカ人女性の、ジョーン・メドフォードの独り言。ジョーン・メドフォードは結婚式の後、新婚旅行にロンドンに行って、サヴォイ・ホテルのスイートに泊まる。そして食事は、シンプソンズへ。
シンプソンズでジョーンは、「デルモニコ・ステーキを!」という。が、「当店では、デルモニコ・ステーキはお出しできません」と、ウエイター。それを説明するために。「ジョイントハウスなので……………」。
「ジョイント・ハウス」には、ある特定の料理を専門とする店の意味があるみたいですね。
『カクテル・ウエイトレス』には、こんな描写も出てきます。

「翌朝、結婚式のために服を着替えた。自分で買ったシンプルなシャークスキンのスーツ。」

もちろん、ジョーンの着る服。でも、「シャークスキン」は男性用のスーツ地でもあります。表面が凝っていて、やや光沢を感じさせるのが、特徴。さて、シャークスキンのスーツで、シンプソンズに行きたいものですが…………。

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