ヴァンとボタン

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ヴァン vin は、フランス語ですよね。もちろん、葡萄酒のことであります。英語なら、ワイン。イタリアなら、ヴィーノ。
イタリアのヴィーノも、フランスのヴァンも、ラテン語の「ヴィヌム」 vinum から出ているんだとか。
フランスには。「ワインが開いたら、飲まねばならぬ」という慣用句があるんだそうですね。これは日本語の、「乗りかかった舟」意味になるという。いかにヴァンが身近なものであるかが分かるというものです。
身近かといえば、ヴィネガー。ヴィネガーはフランス語で、「ヴィネグレ」vinaigre 。これはもともと「酸っぱくなったヴァン」の意味。たしかにワインが酸っぱくなると、ヴィネガーですからね。
ナポレオン・ボナパルトは晩年、朝起きて、一杯のワインを飲むのが習慣だった。セント・ヘレナでの朝ははやくて、五時か六時。五時か六時に目を覚まして、ワインを一杯所望。それから後に、食事。そのワインというのが、「コンスタンシア」のワイン。ナポレオンはコンスタンシアのワインがお好きだった。南アフリカのワイン。
それというのもナポレオンの時代のセント・ヘレナには、フランス・ワインは輸入されていなかったから。

「プロイセン国王は、服の前ボタンが何個必要でまた後ろボタンは何個必要か、また裾をどう裁断したらいいかということなどを、それは完璧に知っていた。」

『ナポレオン自伝』には、そのように出ています。1817年5月16日の記述に。もちろん、プロイセン国王、フリードリッヒ・ウィルヘルムのことなんですが。「仕立屋よりも、詳しかった」と。
ということは、ナポレオン自身もおそらくボタンひとつにも煩かったのでしょうね。
今度のスーツにどんなボタンを付けるべきか、ヴァンを傾けながら、ゆっくり考えるといたしましょうか。

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