ブルゴーニュとブロック・プリント

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ブルゴーニュは、名ワインの故郷ですよね。ボルドーに対してのブルゴーニュ。「ワインの女王」なのか、「ワインの王様」なのか。
たとえば、ジュヴレ・シャンベルタン。モレ・サン・ドニ。シャンボール・ミュジニー。ヴォージュ。ヴォーヌ・ロマネ。ニュイ・サン・ジョルジュ…………」。月並ではありますが、綺羅星のごとく、名酒が立ち並んでいます。
ブルゴーニュがワインの故郷であるのはもちろんですが、美食の故郷でもあります。ひとつの例を挙げるなら、「ジャルダン・デ・ランパール」といったレストランがあります。ワイン・リストを開くと、ボルドー・ワインが無いでもない。でも、わざわざボルドーというのも頼みにくいでしょう。
これに似たことは、ボルドーのレストランに行って、ブルゴーニュ・ワインを注文するのも、なかなかに、難しい。半ば冗談ではありますが、ボルドー人はボルドー・ワインをワインとは認めていない。同じようにブルゴーニュ人はボルドー・ワインをワインとは認めていない。
昔、あるボルドー人が、極上のブルゴーニュ・ワインを薦められて、飲んで、言った言葉。
「私は、やっぱりワインがいいなあ」。
ジュヴレ・シャンベルタンをお好きだったのが、ナポレオン・ボナパルト。戦地にも必ずジュヴレ・シャンベルタンの大樽を馬車に積ませたという。
ブルゴーニュ公国の話が出てくる小説に、『マルテの手記』があります。1910年に、リルケが発表した物語。

「そのとき彼は病気で、人々からぽつんと離れたところにおり、水で薄めていないワインをたくさん飲んだ。」

「彼」が、ブルゴーニュ公であるのは、言うまでもないでしょう。『マルテの手記』には、こんな描写も出てきます。

「あきらかに日曜日用のネクタイをしているのに気づいた。ネクタイには黄と紫の四角いもようが斜めについていた。」

まったくの想像なのですが、「四角いもよう」は、ブロック・プリントではなかったか、と。ごく簡単に言って、木版印刷によるネクタイの柄なんですね。昔は、ブロック・プリントのネクタイも、決して珍しくはなかったのですが。
さて、好みのタイを結んで、ブルゴーニュ・ワインを飲みに行くといたしましようか。

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