川端康成と懐中時計

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川端康成といえば、『雪國』でしょうね。いや、『踊子』でしょうか。あるいは、『禽獣』でしょうか。とにかく名作に事欠かない作家であります。
川端康成が上京したのは、大正六年のこと。それからというもの数えきれないほどの転居をしています。
昭和三年に、大森に。今もある「文士村」のあたり。これは尾崎士郎が誘ったものなのだそうですね。当時の住所では、「子母沢」。ここに梅谷松太郎が住んでいたので、「子母澤寛」。時代劇の名手。「座頭市」の原作者でもあります。子母澤寛の筆名は、大田区の地名からきているんですね。
もう一人近くに住んでいたのが、池部 鈞。当時、有名だった漫画家。池部 鈞の息子が、池部 良。往年の美男俳優であります。
池部 良は昭和三十二年の六月に、ベルリン映画祭に。この帰りにスイスのチューリッヒに寄ることに。スイスですから、池部 良は時計屋に。
「いちばん良い懐中時計を…………。」
と、言ったら、「インターナショナル」が出てきた。池部 良は自分用にひとつ、池部 鈞用にひとつ買って。池部 鈞にはプレゼント。
池部 鈞は、良の羽織の紐を時計鎖にして愛用したそうですね。

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