レイモンドと礼装用シャツ

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レイモンドで、ハードボイルドでといえば、レイモンド・チャンドラーですよね。レイモンド・チャンドラーは、1888年7月23日に、シカゴに生まれています。
お父さんは、モオリス・チャンドラー。お母さんは、フローレンス・ソーントン。このお母さんの姓をもらって、「レイモンド・ソーントン・チャンドラー」。お母さんは生粋のアイルランド人。お父さんもアイルランド系アメリカ人。
ただしチャンドラー自身はあまり「ソーントン」の名前は使わなかった。ただ、「レイモンド・チャンドラー」。これと対照的なのが、モオム。ふつう、「サマセット・モオム」と。ほんとうは、ウイリアム・サマセット・モオムなのに。
むかし、「ソーントン・ジャム」というのがありまして。いや、今も「ソーントン・ジャム」はあるんだそうですが。チャンドラーの母方と何かの関係があるのかも。少なくとも、ほんのすこしハードボイルド気分を味わえるでしょう。
チャンドラーが愛読した作家に、フレミングが。イアン・フレミング。あの「007」の作者であります。
1956年に、チャンドラーは『ダイヤモンドは永遠に』の書評を書いてもいます。事実、チャンドラーはフレミングの第一作『カジノ・ロワイヤル』を高く評価しているのです。その一方、チャンドラーはフレミング宛の手紙で、こうも書いています。

「ぼくはあの書評で君の真価を認めたとは思っていない。」

つまりチャンドラーは、フレミングに対して、純文学を期待していたのでしょう。
イアン・フレミングが、1953年に発表した『カジノ・ロワイヤル』の中に。

「厚手の絹の礼装用シャツの上に、シングルのディナー・ジャケットを着こんだ。」

もちろん、ジェイムズ・ボンドの着こなし。シルクのドレス・シャツなんですね。多くは、リネンのことが多いのですが。
絹のシャツを着て、チャンドラーの初版本を探しに行くとしましょうか。

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