ネセルロードというお菓子があるんだそうですね。フランスに。ネセルロードはマロンを使ったデザート。
ネセルロードの中には、干しぶどうやさくらんぼあ入っていて。外側をマロン・グラッセで包んだプディング。
ネセルロードの名前は、ロシアの外交官だった、ネセルロード伯爵の名前に因んでいるらしい。カール・ロバート・コンテ・フォン・ネセルロードに。
ネセルロードは、1780年12月13日に生まれています。1814年からのウイーン会議で、ロシアの全権使節だったお方。たぶん、ネセルロード伯爵がお好きだったものでしょう。ネセルロードが出てくる小説に、『失われた時を求めて』があります。言うまでもなく、プルーストの大作。
「おや、この上にまだネセルロード風プディングをいただくのですか。」
では、作者のプルースト自身はどんなデザートがお好きだったのか。マルセル・プルースト自身は、とてもとても少食で。一日の食事は、一回だけ。時には、クロワッサンふたつだけという日もあったようです。でも、甘いものも、少しは、食べた。プチフールだとか、ブリオッシュだとか。プチフールなら、「ルバテ」、ブリオッシュなら、「ブールボンヌー」と店が決まっていたという。
果物なら、ラ・フランスか葡萄。これらの果物はオスマン通りにあった「オジェ」の店を贔屓にしたそうです。
では、マルセル・プルーストのネクタイはどうだったのか。プルーストの服装はどちらかといえば、古典派。1905年頃に写されたプルーストの写真を見ると、蝶ネクタイ。
蝶ネクタイというよりも、「ラヴァリエール」。ラヴァリエールは、スカーフ状の大きなネクタイ。日本でボヘミアン・タイというのにも似ています。
プルーストはラヴァリエール風のボウ・タイを自分で結んだ。胸のスタッドなどは、秘書のセレストに手伝ってもらって。
ただ、プルーストは服を傷めることがなく、いつまでも着ることができたそうですね。
なんだか、蝶ネクタイを結んで、美味しいプディングを食べに行きたい気分になりましたが。