ピルエットというのが、バレエのほうではあるんだそうですね。片脚を軸にしてクルッと一回転するやり方なんだとか。p ir o u ett e 。
ひと言、ピルエットと言いましても、実にいろんな形のピルエットがあるという。右回りだとか、左回りだとか、数回回りだとか。そりゃあ、美事なんですが、きれいに決めるには、それなりのご苦労もあるんでしょうね。
ピルエットは必ずしも人とは限らずに、馬も馬術競技なんかで、馬が後ろ脚を中心にして、一回転することも、ピルエットと呼ぶんだそうです。
『ピルエット』と題された短篇小説もあって。エドゥアルド・ハルフォンが、2010年に発表した物語。これは著者らしき主人公が、マドリッドからベオグラードへ旅する物語。旅の途中、ジプシーの女の子に出会って。
彼女は子豚の下から、たくさんの金貨を見つけた時、思わずピルエットをしていた、と。で、その小説の題が、『ピルエット』。
同じくピルエットが出てくる物語に、『支離滅裂なベルリン』があります。これは、ガルシア=マルケスがデヴュー以前に書いた旅日記。
「現代建築 ーー たった一枚のガラスでできているかに思われる高層建築 ーー がピルエットしている近くにバラックの集落があり…………………。」
また、ベルリンのとあるホテルのバアでの様子の描かれています。
「裾の長いまっかな上着、ひさしのついた黒い帽子に乗馬靴と、非の打ちどころのない狩猟用の衣服着こんだ………………」。
これはおそらく、「ピンク・コート」なのでしょう。仮に「真っ赤」でも、「ピンク・コート」。長年の風雨に打たれ、色褪せた狩猟服が良しとされるので。
ピンク・コートを着てのピルエット。もちろん、できませんがね。