珈琲とコオデュロイ

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珈琲は、まこと美味しいものです。珈琲はまた単に美味しいだけでなく、詩想を育むとの説があります。
珈琲は、詩を生むのでしょうか。作家にはわりあい珈琲好きが多いようです。珈琲を飲むと文章が浮かんでくる。
長くイギリスに住んで、数多くのミステリを書いた、カーター・ディクスンは、夜、珈琲を何杯も飲みながら原稿を書いたと伝えられています。
珈琲と関係ある人物に、ランボオがいます。

「アフリカ内地では、珈琲、香料、象牙並びに黄金の商人………………」。

小林秀雄はその著『ランボオ』の中で、そのように書いています。ランボオが、一時期、珈琲豆の輸入に携わったのは、どうも本当のようです。
1880年のこと。ランボオ、二十六歳くらいの時。
フランスのリヨンに本店があった、「バルデー商会」のハラル支店に勤めた。ハラルは、エチオピアの町。「バルデー商会」は、珈琲豆の卸商であったという。ランボオは珈琲だけでなく、象牙や黄金の買付も試みたという。いずれにしても、珈琲園を背景にしたランボオの写真が遺っているのは、間違いありません。
珈琲が出てくるミステリに、『白い僧院の殺人』があります。カーター・ディクスンが、1934年に発表した物語。

「彼女はコーヒーをついでおり、茶碗のあいだで手がちょっとふるえていたが………………………」。

イギリスの上流階級では、わりあい珈琲を飲むことが多いものです。『白い僧院の殺人』には、こんな描写も出てきます。

「馬丁用の褐色のゲートルをつけコール天の上着を着た一人の男の姿が見えた。」

私は馬丁ではありませんが、コオデュロイの上着は着てみたいほうです。もちろん、珈琲を飲みに行くにも、最適でありましょう。

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