プルーストで、フランス人でといえば、マルセル・プルーストでしょうね。あの大作『失われた時を求めて』の作者であります。
『失われた時を求めて」はただ大作であるだけでなく、名作。それもこの上ない名作と言って良いでしょう。少なくとも二十世紀最上のフランス文学であるのは、間違いありません。若き日のジャン・コクトオがプルーストに傾倒したのも、当然だったでしょう。
マルセル・プルースト自身は、マロン色の髪に、同じくマロン色の瞳だったという。身長は、168㎝。では、どうしてプルーストの身長がはっきりと分っているのか。
1889年11月。プルーストは十八歳で、自ら兵隊に志願しています。この時、軍隊の規則で身長を測っています。168㎝。これにはそれほど大きな間違いはないでしょう。事実、オルレアンの歩兵部隊n採用されています。
1896年に写された、二十五歳のプルーストの写真が今に遺っているのですが。今からざっと120年ほど前のこと。
この写真でのプルーストの上着が、袖ボタンが三つになっています。その三つの袖ボタンは、かなり間隔が開いていて。これまた、クラッシックであるような。
プルーストが出てくるミステリに、『震えるスパイ』があります。2006に、ウィリアム・ボイドが発表した物語。
『震えるスパイ』の扉には、長々と、『失われた時を求めて』の一節が掲げられているのです。
また、『震えるスパイ』には、こんな描写も出てきます。
「注文仕立てのツイードのスーツを着て、重い茶色のブローグを履いたボビーは………………………」。
ボビー・ヨークという人物の着こなし。ブローグはもともと、十八世紀、スコットランドの労働靴だったもの。頑丈この上ない靴だったものです。
時にはブローグを履いて。プルーストの初版本を探しに行きたいものですが………………。