ハロルドとパテント・レザー

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ハロルドは、男の子の名前ですよね。たとえば、ハロルド坂田だとか。
ハロルド坂田はもともとはプロレスラー。ところが1964年の映画『ゴールド・フィンガー』に出演して、一躍有名に。オッドジョブが帽子を投げる場面は今も、ご記憶にあるでしょう。
ハロルドで、詩でということになると、『チャイルド・ハロルドの遍歴』があります。1812年に、英國の詩人、バイロンが発表した長詩。

「さらば、さらば、故郷の岸べは
青い浪のうえに消えゆく
夜風はなげき、荒浪は吼え

このようにはじまる、詩。
『チャイルド・ハロルドの遍歴』は、バイロン二十四歳の時の発表。1月29日に刊行されて、拍手喝采。三日間で、五百部が売れたという。
この時のバイロンの言葉が。

「ある朝めざめてみれば、私は有名になっていた。」

I awoke on e m orn ing and f o und mys elf f am o us:

と、実際には言ったんだそうですが。
バイロンは、1798年に、第五代バイロン卿となっています。わずか十歳で。
1805年には、ハーロウから、ケンブリッジ大学に。この時、従者を連れて入学したというから、羨ましい。日常の雑事をやってもらうために。
ハロルドが出てくるミステリに、『地下道の鳩』があります。2016年に、ジョン・ル・カレが発表した自伝とも読めるスパイ物。

「そこにはもちろん、労働党党首のハロルド・ウィルソンや首相のハロルド・マクミランも含まれていた。」

また『地下道の鳩』には、こんな描写も出て来てます。

「目の覚めるような緑のチェック柄のスリーピースのスーツに、オレンジ色のエナメル靴をはいている。」

これは「バーナード」という人物の着こなし。「オレンジ色のエナメル靴」なんて代物が、あるんですねえ。
エナメルは、パテント・レザーのこと。パテント・レザーは、アメリカにはじまっています。1819年に、ニュウジャージ州、ニュウアークの、セス・ボイドンなる馬具屋が考案。1820年には特許申請。それで、「パテント・レザー」なんですね。

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