ローマとロール・カラー

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ローマは、イタリアの都ですよね。ローマは、明るく、おしゃれな街。また、「マンジャーレの街」でもあります。食事がたいへんに美味しい。
ローマを舞台にした映画はたくさんあります。でも、誰もが知っている「ローマ映画」となれば、『ローマの休日』でしょうか。あのオオドゥリイ・ヘップバーンの出世作。ヘップバーンに、それ以前の映画出演がないわけではありません。が、世界中にオオドゥリイの名前を知らしめたのは、『ローマの休日』。原題も、『ローマン・ホリデイ』。
映画『ローマの休日』での衣裳担当が、ご存じイーディス・ヘッド。多くのハリウッドの衣裳デザイナーの中でも、アカデミー賞受賞最多のお方であります。『ローマの休日』でも、イーディス・ヘッドは、アカデミー賞を受けています。
『ローマの休日』は、アン王女が深夜、ふらりと街に出るところからはじまります。そこに偶然、新聞記者のジョーが通りかかる。ジョーを演じるのが、グレゴリー・ペック。ジョーは仕方なく、王女とは知らずアパルトマンに。
アパルトマンでしばし寝かせようと。と、王女は、「ネグリジェを」と。ひとり暮らしのアパルトマンにそんなものあるはずもなく、パジャマを。と、服を脱がせなさい、と。
これは実に正しい場面で。王女がひとりで服を脱いだり着たりするはずがありません。いや二十世紀はじめまでのレディーは皆、おつきの女性に手伝ってもらった。だから今なお、女性の服は「着せやすい」工夫がなされているわけですね。
『ローマの休日』の拍手喝采を受けての第二作が、『麗しのサブリナ』。ハンフリー・ボガートと共演。この『麗しのサブリナ』でも、イーディス・ヘッドはアカデミー賞を。
ところが。実は、オオドゥリイ自身は、自前も含めてユベール・ド・ジヴァンシーのドレスも着用しているのです。映画会社としては衣裳デザインのクレジットをどうするかで、頭を悩ませたという。結局は、「イーディス・ヘッド」の名前になっているのですが。
ローマが出てくるミステリに、『チャンス』があります。1996年に、ロバート・B・パーカーが発表した物語。

「私は頷いて、ローマン・サラダを一口食べた。」

「私」が、スペンサーであるのは言うまでもないでしょう。ローマン・サラダは、火を入れた野菜のサラダなんだそうですが。
また、『チャンス』には、こんな描写も。

「彼は黒いサテンのショール・カラーの付いたタキシードを着ている。」

「ショール・カラー」は、主にアメリカでの表現。イギリスではたいてい「ロール・カラー」と呼びます。
でも、なぜ、ロール・カラーであり、ショール・カラーなのか。これはもともと「部屋着」という発想からきているのですね。

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