ソネットとソフト・ハット

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

ソネットは、詩のひとつですよね。s onn et と書いて、「ソネット」と訓みます。
ソング s ong ともまんざら無関係でもなくて。もともとは「小さな歌」の意味なんだそうです。ヨオロッパの中世では、ソネットがずいぶん流行ったらしい。
ソネットは基本的に、十四行に、詠む。その十四行とは。
AB AB CD CD EF EF GG
そんなリズムで流れてゆくことになっています。このソネットがお上手だったのが、シェイクスピア。シェイクスピアは劇作とは別に、優れたソネットを多く遺しています。たとえば。

私の目は画家となってこの心のタブレットに
あなたの美しいからだを見たままに刻みつけている、
私のからだは額縁となってその絵を収めている、
正しく見なければならぬ最高の画家の作品を。

後半のソネットは省略させて頂きます。ここに掲げたのが、「AB AB」
なのです。
シェイクスピアがソネットを書いたのは、1590年代のことではないかと、考えられているようです。シェイクスピアが二十代後半のことでしょうか。当時のように愛の詩が多く含まれています。つまり、シェイクスピアは劇作家であったと同時に、詩人でもあった。まあ、劇中で、詩を朗読させるにも、好都合だったのでしょうが。
ソネットが出てくる小説に、『美少年』があります。ダフネ・デュ・モーリアが書いた短篇。

「シェイクスピアのソネットをもっていき、その一、二篇を彼に読んで聞かせることもできるのだが。」

また、『美少年』には、こんな描写も。

「白いレインコートを着てつば広の中折れ帽をかぶった大きな男が柱廊の陰から出てきて………………………」。

「中折れ帽」、もちろんソフト・ハットのことでありましょう。
著者、ダフネ・デュ・モーリアのおじいちゃんが、ジョージ・デュ・モーリア。あの『トリルビー』の作者。もともとは画家なんですが。たまたま書いた劇作が、拍手喝采となったものです。
劇の『トリルビー』で、女主人公が男物のソフト・ハットをかぶって、流行に。
ソフト・ハットをかぶって、ソネットが浮んでくるといいのですが。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone