ランドリューとラウンジ・スーツ

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ランドリューは、昔むかしの殺人鬼の名前ですね。アンリ・デジレ・ランドリュー。1920年代のことではありますが。
このアンリ・デジレ・アンドリューをヒントにした映画が、『殺人狂時代』。1947年の、チャップリンの映画であります。ただし、『殺人狂時代』はいつものチャップリンのドタバタ喜劇とは一線を画しているものです。「真面目な映画」といってよいでしょう。
チャップリンはこの映画の中で、主人公のアンリ・ヴェルドゥを演じる。このアンリ・ヴェルドゥが、なかなかの洒落者という設定になっていまして。一種のファッション映画にもなっています。
この実在のランドリューが出てくるミステリに、『毒を食らわば』があります。1930年に、ドロシー・L・セイヤーズが発表した物語。

「ランドリューは頭がよかったと思わないこと?」

これは、デンヴァー先代公妃の科白。また、『毒を食らわば』には、こんな描写も出てきます。

「バンターはこの背広を勧めたが、これでよかったんだろうか ー 少し暗い色だと思うんだが、型はいいし……………………。」

これは物語の主人公、ピーター・ウィムジイ卿の科白。
バンターは、ウィムジイ卿の執事の名前。マーヴィン・バンター。
ウィムジイ卿はいつも、服装はバンターに任せきり。それで、こんな科白も出てくるのでしょう。ここでの「スーツ」はラウンジ・スーツのこと。
思えば私たちはいつも半分省略して、スーツと呼んでいるわけですね。ほんとうは、「ラウンジ・スーツ」。それもなるべくダークな色調がイギリス貴族の好みみたいですね。

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