アップル・・パイとアップタウン・スーツ

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アップル・パイは、美味しいものですね。味つけをして煮たアップルをパイの皮で包んで焼いているので、アップル・パイ。
アメリカ人がいちばん好きなデザートだとされています。1620年の、「メイフラワー号」にはりんごの種が積み込まれていたらしい。このりんごの種を新天地に蒔いてみると。すくすく成長してりんごの木が実ったそうです。
このりんごを使って、大いに食物や飲物に使ったとのこと。アメリカ人がアップル・パイ好きなのは、昨日今日の話ではないのでしょう。アップル・パイが出てくる小説に、『青鬼の褌を洗う女』があります。
昭和二十二年に、坂口安吾が発表した物語。『青鬼の褌を洗う女』は、坂口安吾の代表作とされる小説でもあります。

「チーズに牛肉にコーヒーにチョコレートにアップルパイにウィスキーかなんかがないと戦争ができないてんだから大したもんじゃないか。」

これは物語の主人公の、お母さんの科白。もちろん、アメリカの兵隊のことを、指しているわけですね。
昭和二十年頃の日本は、「チーズに牛肉にコーヒーにチョコレートにアップルパイにウィスキー」などぜんぶ高嶺の花でありましたが。
たぶんアップル・パイがお好きだったろうと思われる作家に、アメリカの、ジェローム・ワイドマンがいます。そのジェローム・ワイドマンの小説に、『東四丁目』が。日本語訳は、常盤新平。この中に。

「彼は、東四丁目でアップタウン・スーツといわれる服装をしていた。ダブルのスーツのことだ。ネクタイに、小粒のダイヤモンドをちりばめた、小さな金色の蹄鉄型のタイピンがついていた。私はすぐに彼を信用した。」

もちろんこれは、マンハッタンが背景になっています。マンハッタンで、「アップタウン」というと、必ずしも上品ではない地区になります。また、黒人が多く住んでいるあたりという印象があります。
つまり、「アップタウン・スーツ」は黒人好みのスタイルと言ってよいでしょう。少し誇張されたシルエットと、デザインのスーツなのですね。
まあ、この広い世の中には、「アップタウン・スーツ」があることも知っておきましょう。

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