サンドイッチとサヴィル・ロウ

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サンドイッチは、軽食のひとつですよね。色パンと食パンとの間に、ハムとチーズなんかを挟んで食べるものです。
サンドイッチ s andw ich は、1762年頃から用いられている英語なんだそうです。
サンドイッチ伯爵が考案したとの伝説から、「サンドイッチ」と呼ばれるようになったんだとか。
英國はむかしから食事作法にうるさいお国柄。その国に貴族が、片手で召し上がったところが、面白い。
サンドイッチは食の改革だっただけでなく、作法の革命でもあったわけですね。
日本で、はじめてサンドイッチを食べたのは、誰なのか。さあ。いずれにしても明治になってからのことでしょう。
明治三十三年に発表された小説に、『思出の記』があります。徳冨蘆花の創作。一見、自伝のようでもありますが、小説。この中に。

「………腹が空けば杉ごけの上に足投げだして古新聞に包んだ「サンドヰッチ」に舌鼓を打ち……………………。」

徳冨蘆花は「サンドヰッチ」と書いています。鉤括弧の中に。
この時代背景は明治中期になっていますから、「サンドヰッチ」はハイカラの食べ物でもあったに違いありません。少なくとも小説にあらわれる「サンドヰッチ」としては、かなり早いものかと思われます。
徳冨蘆花は明治三十九年六月。トルストイを訪ねて、親しくなっていますから、日本人で最初にサンドイッチを食べた候補のひとりであるのかも知れませんが。
サンドイッチが出てくる英國の小説に、『戀愛對位法』があります。1928年に、
オルダス・ハックスリが発表した物語。この中に。

「家に帰ればサンドウィッチにお酒くらいあるわよ」往来に出るとルーシーはいった。」

これは深夜。ルーシーがスパンドレルを自体に誘う場面。それはどんな「サンドウィッチ」だったのか。

「パンとストラスブルグの鵞鳥のリヴアーを口いっぱいに頬ばったスパンドレルが説を述べた。」

ああ、レヴァのサンドイッチも美味しいでしょうね。
また、『戀愛對位法』には、こんな描写も出てきます。

「ちょうどサヴィル・ロウ街の仕立屋たちが、黒の上着に茶の靴はくのを恥ずかしいときめたのと同じさ。」

これは、「ラムピオン」という人物の説として。「キリスト教が裸を恥ずかしいときめたように」と並べて、サヴィル・ロウが出てくるのですが。
よく「背広」とサヴィル・ロウとの関係が言われるのですが。私は幕末の職人用語から来ているのではないか、と。
フロックのようにカーヴド・ダーツがないので、佐藤与次郎が背が広い、「背広」と弟子に教えたのはじまりでしょうね。

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