バレエとバスケット・シューズ

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バレエは、舞踏のことですよね
b all et と書いて、バレエと訓むんだそうです。フランス語のバレエは、イタリア語の、
「バラーレ」br all ar e から出ているんだとのこと。「バラーレ」は、「踊る」の意味であったという。
ルネッサンス期のイタリア宮廷での愉しみとして。床の上で「踊る」ことによって、無言で「図形」を描くのが、目的。観客の貴族はこれをテラスの上から眺めて、その「図形」を想像するところに、面白さがあったのでしょう。
つまりルネッサンス期の「バラーレ」は、上から眺める舞踏だったわけですね。
よく、「ポルカ・ドット」の語源について悩むのですが。ポルカの踊りを上から眺めての様子に似ているから、「ポルカ・ドット」と考えれば、案外解決がはやいのではないでしょうか。

「凡そ微妙なる感能の極度を動す舞踏の曲につれ、君は爪先立ちて、鳥の如くに舞台を飛び廻り、曲の一節毎に、裾を蹴つて足を上げ、手をかざして両の脇を伺はしむ。」

永井荷風は、大正四年に発表した『ふらんす物語』のなかに、そのように書いています。
荷風は、「舞踏」と書いて、「バレー」のルビを振っているのですが。まあ、あきれるくらいの名文ですね。たったこれだけでもバレエの精妙さが伝ってくるではありませんか。

バレエが出てくるミステリに、『パリ警視庁 迷宮捜査班』があります。
2015年に、フランスの女流作家、ソフィー・エナフが書いた物語。

「ジーンズ、バレエシューズ、薄手のセーター、そしてトレンチコート。」

アンヌ・カベスタンの身支度について。時は、2012年9月3日に設定されています。
アンヌ・カベスタンが主人公。「迷宮捜査班」の長。アンヌ・カベスタンはこの日だけでなく、この着こなしが「制服」にもなっているようですが。
パリ警視庁、「迷宮捜査班」は、総勢、40人。難しい事件ばかりを扱う部署。この40名の部下には男の刑事も、女の刑事も。ただ、ひとつだけ共通しているのは、一癖も二癖もある連中であること。
その刑事らしくない刑事を束ねるのが、アンヌ・カベスタンの任務。これで、面白くないはずがありませんよね。

「夕食のあいだ、三人はスパゲッティをがつがつ食べた。添えられたのは、コート・デュ・ローヌのワインと……………………。」

このミステリには、「コート・デュ・ローヌ」が何度か出てきます。たぶん、アンヌ偏愛のワインなんでしょう。
これは一例で、ミステリによくある「気取り」、「背伸び」が少ないのも、特徴の一つでしょうね。

「<モノプリ>の袋から四角いバタービスケットを一箱取り出し……………………。」

そんな文章も出てきますから。「モノプリ」はご存じのように、大衆型のスーパーマーケットですよね。
また、『パリ警視庁 迷宮捜査班』には、こんな描写も出てきます。

「バスケットシューズを履いてエプロンを着けたウェイターが、テラスにテーブルを出しているところだった。」

これは「ピエロ」というブラッスリーでの様子。ただし、「バスケットシューズ」も、何度か出てくるのですが。やはり、アンヌの偏愛のひとつなのでしょうか。
バスケット・シューズ。より正しくは、バスケットボール・シューズですよね。もっと短くして、「バッシュ」とも。
バスケット・シューズは、足頸を守ってくれる靴であります。そしてまた、滑りにくいソールにもなっていて。
バスケット・シューズが日本で流行になったのは、戦後間もなくのことです。私も背伸びして履いた記憶があります。
バスケット・シューズのもうひとつの特典は、スリム・パンツに合うこと。裾口での干渉がないから。
バスケット・シューズ本体が白なら、シュー・ストリングズも白。というより、本体が純白なのに、靴紐が汚れているのは見たくないです。
靴も、紐も同じように白くありたいものではありませんか。
どなたか白のキッドでバスケット・シューズを作って頂けませんでしょうか。

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