アイゼンハウワとアルパカ

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アイゼンハウワは、第三十四代の、アメリカ大統領のことですよね。
ドゥワイト・デイヴィッド・アイゼンハウワ。1890年10月14。テキサスの、デニソンに生まれています。1915年に、「ウエストポイント士官学校」を卒業していますから、根っからの軍人だった人物なんでしょう。
有名な、ノルマンディー上陸作戦を指揮して、第二次世界大戦を勝利に導いた人ともされます。
このアイゼンハウワもまた、ファッションとは無関係ではないのですね。服飾用語辞典を開きますと、「アイゼンハウワ・ジャケット」として、ちゃんと出ています。またアイゼンハウワの愛称に因んで、「アイク・ジャケット」とも。
「アイク・ジャケット」は、第二次大戦中に用いられた、野戦服。フィールド・ジャケット。なにも特別のものではありません。
もともとはイギリスの野戦服、「バトル・ドレス」をヒントに生まれた、ウエスト・レングスの、軍服。
本来は一兵卒が着るべきフィールド・ジャケットを、最高責任者である、アイゼンハウワが同じ軍服で、戦線を見舞った。これに拍手喝采して、「アイゼンハウワ・ジャケット」と呼ばれるようになったものです。
だからこそ、「アイク」のニックネイムも生まれたのでしょう。
アイゼンハウワが出てくる小説に、『狐たちの夜』があります。1986年に、ジャック・ヒギンズが発表された物語。ただし、時代背景は、第二次大戦中に置かれているのですが。

「すぐ行く。その前に、アイゼンハウワがロンドンにいるかどうか、調べておいてくれ。」

これは、英国特殊作戦課の、ドゥガル・マンロゥの言葉。1944年4月28日の午前4時に電話で起こされて。
その後、マンロゥは、アイゼンハウワと面談するのですが。
『狐たちの夜』には、こんな描写も出てきます。

「私が石段を上って行くと、すぐさま、黒いアルパカの上衣を着た重々しい顔つきの背の高い男がドアを開けた。」

「私」とは、物語の主人公、ハリイ・マーティノゥ。英国陸軍大佐という設定になっているのですが。
アルパカ alp a c a は、生地の名前。ペルーなどの高山に棲む動物。グアナコにも近い動物だと考えられています。グアナコに近いのが、ヴィクーニャ。
要するに、アルパカはより細く、長い、上質の繊維が得られるのです。文中、「上衣」とありますが、当時の常識としては、夏物にふさわしい生地とされたもの。また、極上のスーツの裏地としても、アルパカは用いられたことがあります。
アルパカで、アイゼンハウワ・ジャケットを仕立てる。これまた、私の夢物語なのですが。

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