薔薇とバッファロー

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薔薇は、ローズのことですよね。
薔薇と書いて「そうび」とも訓むんだそうですが。薔薇の歴史もたいへん古いらしくて。
古代メソポタミアの『ギルガメッシュ叙事詩』にも、薔薇のことが出ています。少し見方を変えますと、『ギルガメッシュ叙事詩』は世界で最初の小説と言えなくもないわけですから、薔薇と人との関係にも浅からぬものがあるのでしょう。

薔薇が出てくる小説に、『パリ人の日曜日』があります。フランスの作家、ギイ・ド・モオパッサンが、1880年に発表した物語。

「じいさんは、バチソーの労を労うために、バラを一輪贈った。」

『パリ人の日曜日』の主人公は、「バチソー」という名前の、五十二歳の男性。パリに生まれ、パリに育った、平々凡々の男という設定になっています。
その「バチソー」が、パリ郊外にハイキングに行く物語なのです。バチソーは田舎で旧友に会って、ちょっとした手伝いを。
それに感謝して、薔薇一輪。もちろん飾り花として、襟穴に飾ってくれようとしたわけなのですが。
バチソーはそれまでハイキングなどしたことがなかったので。前もって、ハイキングの支度をするんですね。モオパッサンはその支度の用意を念入りに書いてもいます。
もっともモオパッサン自身は、ハンティングが好きで、フィッシングが好きでしたから、それらに適した服装にも詳しかったに違いありません。
バチソーはまず、ハイキング用の靴が必要だろうと思って。パリの靴屋へ。それも自称アメリカ人の経営している靴屋へ。
その日は、1880年5月30日の日曜日だと、モオパッサンは書いています。

「………一見機械のようなものを示したが、その言うところによればロッキー山の野牛の革で作ったのだそうである。」

バチソーは靴屋で勧められたその靴が気に入って、買う場面。モオパッサンは。
「軍艦のように鋲で装甲され……………。」そんなふうに説明しているのですが。
ところで、『パリ人の日曜日』の中の「野牛」とは何でしょう。私は勝手に、バッファローを想ったのですが。
もっともこれは靴屋の宣伝文句だったのでしょうから、実際に断定はできませんが。ただ、厚く、頑丈な革によるハイキング・シューズだったことは間違いないでしょう。
どなたかバッファローの靴を作って頂けませんでしょうか。

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