ホップはある植物の芽ですよね。なんでもクワ科の植物なんだとか。
「ホップ」 h o p が欠かせないものに、ビールがあります。ビールをひと口頂きますと、ほろ苦い快感が。あのほろ苦さのもとは、ホップなんだそうですね。
ホップはまた、ビールの保存を高める上でも効果があるんだそうですね。
明治四年に、「岩倉使節団」というのがありました。岩倉具視が中心となって、西洋の学問を研究に出かけた時のことです。これをすべて記録したのが、『米欧回覧実記』。文章を纏めたのが、久米邦武であります。
「………葎穂ハ英ノ南部「ケンド」州辺ニ多ク耕種ヲナス……………。l
久米邦武著『米欧回覧実記』に、そのように出ています。久米邦武は、「葎穂」と書いて、「ホップ」のルビを振っているのですが。また本文に「ケンド」とあるのは、「ケント」のことかと思われます。
それはともかく、日本人が実際にホップを見たのは、この時が最初だったのではないでしょうか。
「………その原料に供するホープの海外より輸入することを防ぎ……………。」
明治二十年「大阪日報」一月三十日の記事にも、そのように出ています。記事中の「ホープ」は、今のホップのことなのでしょう。
ホップが出てくる小説に、『人間の絆があります。1915年に、英国の作家、サマセット・モオムが発表した長篇。
「ホップ摘みは、子供を除けて、十人ずつの組に別れておr、各組が一つずつ大袋を受け持つことになっている。」
これは皆で手分けしてホップを摘み取る作業について。ワイン造りのための、葡萄摘みと少し似ているのかも知れませんね。
モオムの『人間の絆』を読んでおりますと、こんな描写が出ています。
「………『パンチ』誌に出る漫画のフランス人がつけているような、蝶ネクタイをだらりとたらしている。」
これは日本でいうところの「ボヘミアン・タイ」ではないでしょうか。
「それが黑い鍔廣の帽子をかぶつて、安物らしい獵服を着用して、葡萄色のボヘミアン・ネクタイを結んで……………。」
大正九年に、芥川龍之介が書いた短篇『葱』にも、そんな一節が出てきます。フランス式なら、「ラヴァリエール」lav all ièr e でしょうか。
どなたかボヘミアン・タイが似合いそうなスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。