パブとハーフ・ベルト

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パブは、イギリスの居酒屋のことですよね。エールが飲める、スタウトが飲める、ギネスが飲める所であります。
軽食もありますし、食事をすることもできます。「パブリック・ハウス」を短くしまして、パブ。誰もが自由に入れる店という含みがあるのでしょう。

日本でのパブは、「パブカーディナル」が早かったのではないでしょうか。1960年代のことです。銀座四丁目に。
少なくとも「パブ」を店名の前につけた最初の店だったように思われます。「カーディナル」は美しい小鳥の名前。店名に添えてきれいな色の小鳥、カーディナルが描かれていました。
パブカーディナルは一例で、ロンドンでも名前に工夫を凝らしたパブは少なくありません。たいていは、通りにつきだすように「パブ・サイン」を掲げているものです。
このロンドンの「パブ・サイン」に興味を抱いた写真家に、向田直幹がいました。向田直幹はありとあらゆる「パブ・サイン」を写して、写真集作ってもいます。
向田直幹は写真家であるんと同時に、洒落者でもありました。冬になると、ボマー・ジャケットにフラノのズボン。シャツにタイを結んで、パリの街を闊歩していたものです。1960年代の一時期、パリに住んでいましたから。
パブが出てくる小説に、『葉蘭を窓辺へ飾れ』があります。1936年に、英国の作家、ジョージ・オーウェルが発表した物語。

「何か食べようと思い、ゴードンは「プリンス・オブ・ウェールズ」にぶらりと入って行った。」

ゴードンは物語の主人公。「プリンス・オブ・ウェズ」は、パブという設定になっています。
股肉と野菜の盛合せが、1シリング2ペンスだと、書かれています。エールが1パイントで、9ペンスとも。
ジョージ・オーウェルの『葉蘭を窓辺に飾れ』を読んでおりますと、こんな描写も出てきます。

「………粋なフェルトの帽子に今が流行りの青いベルト付きオーバーを着こんだ男が………」

まったくの想像ですが。これはハーフ・ベルト付きの外套ではなかったでしょうか。背バンド。
背バンドは、その昔にはラップラウンド・ベルトが付いていたコートの含みがあるのでしょう。
たとえばアルスター・コートから、ポロ・コートが生まれたとすれば、ハーフ・ベルトが付けられるわけです。
どなたか現代的なハーフ・ベルト付きの外套を仕立てて頂けませんでしょうか。

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