キャバレエとキッド

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

キャバレエは、酒場のことですよね。cabaret と書いて「キャバレエ」と訓むんだそうですね。フランス語のキャバレエは、「カーヴ」cave  とも関係ある言葉なんだそうです。昔は、地下に開くキャバレエが多かったのでしょうか。
巴里の、モンマルトルの老舗キャバレエに、「黒猫」があります。もちろん、「シャ・ノワール」黒猫の看板が目印だったので。
「黒猫」の開店は、1851年のことだったという。「黒猫」の開店祝賀会はたいそう賑やかで、かのモオパッサンも顔を出していたという。
ユイスマンや、ヴィリエ・リラダンも。ロビイには、「人間よ、モダンになれ!」の言葉が大きく掲げられていたそうです。

「そりやあ此奴を覚えるにやあ、苦労したもんだよ。別に習つた訳ぢやあないが、つまり散々カフェエやキャバレを荒らした結果さ。」

小説『友田と松永の話』に、そのような一節が出てきます。谷崎潤一郎が、大正十五年発表した短篇。
これは松永が、友田に、「何処でタンゴを習ったんだね?」と尋ねたことへの返答として。
事実、谷崎潤一郎自身も、キャバレエでダンスを練習したことがあるんだそうですね。

キャバレエが出てくる小説に、『めし』があります昭和二十六年に、林芙美子が発表した物語。

「女給が千人、ダンサー千人、ボーイが千人、お客が一萬人という、大キャバレーを見物したンだぜ………」

これは夫の「初之輔」の妻への科白として。事実、戦後間もなくの大阪には、それほどに大きいキャバレエがあったんだそうですね。
『めし』は、林芙美子の絶筆。昭和二十六年六月二十九日に、昇天したので。
朝日新聞」に150回連載予定が、97回で終了となった小説。
同じ年に『めし』は映画化されて。上映時間、97分。これもなにかの因縁なんでしょうか。
『めし』には、こんな場面も出てきます。

「ボックスや、キッドの、つやつやした、はき心地のいいのが、並んでいる。」

これは妻の三千代が、靴屋のショオ・ウインドオを眺めているところ。場所は大阪、心斎橋。
キッド kid  は、子山羊の革。薄くて、軽いのが、特徴。手袋などにもよく用いられる材料です。また、光沢に優れているのも特色のひとつ。
どなたかキッドのスリッポン・シューズを作って頂けませんでしょうか。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone