ひらめとビレッタ

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ひらめは、魚のひとつですよね。
「左ビラメの右カレイ」そんな言い方があるではありませんか。。
平目と鰈とはよく似ているので、それを見分けるための方法なんですね。
平目は、高級魚。ことに江戸時代には美味とされたものです。🎶タイやヒラメの………と、歌われたのもそのためだったんですね。
一方、江戸期に敬遠されたのが、鮪。これは要するに日本人の味が変わったから。
江戸時代にはタイやヒラメの透明な味わいが好まれた。そこからすると鮪などは脂が濃すぎたのであります。
ひらめが出てくる小説に、『いやな感じ』があります。昭和三十五年に、高見 順が発表した物語。但し時代背景は、戦前に置かれているのですが。

「だが、せうことなしにヒラメ(新聞)をひろげると、帆住博士の逝去が、かなりのスペースを取つて大きく報道されてあつた。」

新聞のことを「ヒラメ」というのは、当時の暗黒街の住人の隠語なんだそうです。
この広い世の中に、星の数ほどの小説があります。その中でも『いやな感じ』は、スラングの多いことでは、一二を争うんじゃないでしょうか。まるで『隠語辞典』を読んでる感じさえあります。
主人公の「砂馬」が暗黒街の住人ということと関係しているのでしょう。

○ブショウシ(勝負師)
○オサト(鮨)
○カイナ(仲居)
○ノイ(玉の井)
○メイド(亀戸)
○ホーヘ(露店)
○ギシュ(社会主義者)
○煎餅(雪駄)
○バシタ(奥さん)
○チョウフ(隠語)
○ハイリョウ(一円)
○スリコ(薬)
○リツ(弁護士)
○シャジ(医者)

これはほんの一例ですから、『いやな感じ』にいかに多くの隠語が出てくるのか、凡その見当はつくでしょう。

ひらめが出てくる小説に、『玉ねぎの皮をむきながら』があります。2006年に、ギュンター・グラスが発表した物語。

「………聖ドロテーア・モンタウのあくなき弁護者のために、内省的なことを原則とした小説『ひらめ』のなかで………」

また、『玉ねぎの皮をむきながら』には、こんな描写も出てきます。

「ビロードのビレッタを被り、黒いケープをまとい、遅れてきたワーグナー信奉者気取りで見えざるオーケストラを指揮していた。」

とある公園で見かけた光景として。
「ビレッタ」biretta は、本来、聖職者のかぶる帽子のこと。ベレエとも関係ある言葉です。
但し、ベレエよりは立体的で、高く盛りあがっています。四方に四つのコーナーがあって、筋張っているものです。
どなたか街でもかぶれるビレッタを作って頂けませんでしょうか。

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