手袋とディトーズ

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手袋は、グラヴのことですよね。これが「ミット」となりますと、ミトンのこと。指がふたつに分かれている手袋のことであります。
手袋は長い間、紳士淑女に必携の小道具でありました。他人に素肌をさらすのは、たいへん失礼なことだったから。手もまた素肌で、これを包んでおくのは、季節に関係なく、必要不可欠だったのであります。
かのトゥタンカーメンの遺跡からも、精巧に作られた手袋が出土しています。手袋の歴史が浅からぬひとつの証明でしょう。

「十六世紀の後半には、男女どちらの手袋にも幅の広いカフスがつくようになり、金糸た絹の色糸で入念な刺繍が施された。」

ブランシュ・ペインが、1965年に発表した『ファッションの歴史』には、そのように説明されています。
十六世紀、十七世紀の手袋は、華麗の一語に尽きるものだったのでしょう。
また『ファッションの歴史』には、こんな解説も出てきます。

「当初「ディトー」と呼ばれたこのスーツは、しばらくのあいだは目新しい服装だったが、十九世紀も時が経つにつれて広範に普及していった。」

これは1850年代の英国での話として。
「ディトーズ」dittosは、上下揃いの服装のこと。
1850年代以前には、上下揃いの服装は存在しなかった。それは今のモーニング・コートを眺めれば、一目瞭然でしょう。
つまり、1850年代の英国で、画期的な服装革命が行われたのです。
言葉としての「ディトーズ」の命は短くて、やがて》「スーツ」が一般的な言い方となってゆくのです。
どなたか1850年代のディトーズを復活させて頂けませんでしょうか。

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