シャンパンとジビュス

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シャンパンは、祝い酒という印象がありますよね。何かいいことがあって。誰かとそれを祝う時には、やはりシャンパンが似合います。
シャンパンを注ぐ立場としては、音を立てずに栓を開けるのが、礼儀になっています。レストランのボーイがシャンパンを空ける時、音がしたら、失敗ということなのです。

「皆立ちがる。椅子がきしる。シャンパングラスを差し上げる。シャンデリアの光が激しくグラスへはいる。」

昭和五年に、永井龍男が発表した短篇『繪本』に、そんな一節が出てきます。これは、結婚式での光景。シャンパンが出てくるのも、当然でしょう。
永井龍男の『繪本』から想ったことですが。シャンパンが祝い酒とされるのは、その黄金の煌めきに原因があるのではないでしょうか。

シャンパンがお好きだった写真家に、キャパがいます。戦場カメラマンの、ロバート・キャパ。キャパは後に「マグナム」を結成するのですが、あのマグナムはシャンパンのマグナム・ボトルから来ているんだそうですね。

「キャパの目の前で、くすくす笑い、フルート型のシャンパングラスを次から次へと空けていく女性は、連合軍兵士の憧れの的であり………」

アレックス・カーショウ著『血とシャンパン』に、そのような一節が出てきます。
時は、1944年6月6日。所は、巴里の「フーケ」で。
ここでの「女性」とは、女優のイングリッド・バーグマン。
この日、キャパは巴里の「リッツ・ホテル」に泊まっていて。偶然、イングリッド・バーグマンがチェックインするのに出会して。
その夜のデディナーに誘って、三人で食事。バーグマンとキャパとショオ。あの作家の、アーウイン・ショオ。この夜、三人は明け方まで飲んでいたそうです。

シャンパンが出てくる短篇に、『遺産』があります。モオパッサンの名作ですね。

「手ずから戸棚をあけてシャンパン・グラスを取り出し、客の前に並べた。」

これは「セザール」という人物の行いについて。
モオパッサンの『遺産』を読んでおりますと、こんな描写も出てきます。

「彼は、オペラ・ハットを小脇に、ボタン孔に花をさして………」

ここでの「彼」もまた、セザール。
オペラ・ハットは、英語。フランス語では、「ジビュス」gibusu 。
1820年頃、巴里の帽子屋、アントワーヌ・ジビュスが考案したので、その名前があります。
どなたか完璧なジビュスを作って頂けませんでしょうか。

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