フランスは、いつの時代にも、また誰にとっても憧れの都ですよね。
ふらんすへ 行きたしと思へども
ふらんすは あまりに遠し
せめて新しき背広をきて
きまゝなる旅に いでゝみん
萩原朔太郎のあまりにも有名な詩であります。朔太郎が1924年に詠んだ名詩ですね。
大正十三年に、フランスを旅した詩人に、斎藤茂吉がいます。斎藤茂吉はその時に、オーヴェルに足を伸ばしているのですが。その時の様子は、紀行文『オウヴェル行』に詳しく書かれています。
「ガッセのお嬢さんのピアノをひく図は、ゴオホの死んだ前月あたりに描いたもので当時娘さんは二十一歳であったそうである。」
斎藤茂吉は、「ガシェ」の息子に会うのが、旅の目的だったようですね。茂吉は「ガッセ」と書いているのですが。
ゴッホの『医師ガシェの肖像』は、高く評価されている名画であります。今、天文学的な金額の値段がつけられること、ご存じの通り。
フランスで、作家でといえば、バルザックを想う人も少なくないでしょう。もちろん、オノレ・ド・バルザックです。
バルザックが1838年に発表した小説に、『ニュシンゲン銀行』があります。この中に。
「彼はそこで、勇敢にも帝国の鷲を刺繍した三色のズボン吊りを身につけ、ボナパルト派の人々の中に入り込んだ。」
そんな一節が出てきます。これはある銀行家の様子として。
「ズボン吊り」。サスペンダー。フランスなら、「ブレテル」bretelles でしょうか。
どなたか小さなカナリアの刺繍のあるブレテルを作って頂けませんでしょうか。