ウィーンとウエイストコート

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ウィーンは、オオストリアの都ですよね。また、音楽の都でもあります。そしてもうひとつつけ加えるなら、カフェの都。珈琲の都、そのように言いたいお方もいらっしゃるでしょう。
カフェそのものが宮殿のようですし。その珈琲宮殿で出される珈琲は、天国の味わいです。
「ウインナー・コーヒー」の和製英語が生まれるのも、当然のことかも知れませんね。
昭和八年にウィーンに旅した画家に、和田三造がいます。その折の紀行文が、『ウィーンの滋味』なのです。

「小さいタッスのコーヒーは全心身に陶酔的にしみわたり、むせるような芳香と、甘い苦味に長い余韻を漂わせている。」

和田三造は、ウィーンでの珈琲をそのように書いています。
和田三造は、明治末期から十年ほどフランスに住んでいます。ヨオロッパの珈琲には親しんでいるはず。その和田三造が、ウィーンでの珈琲を絶賛しているのですね。

ウィーンが出てくるミステリに、『ブラウン神父の無心』があります。1911年に、G・K・チェスタトンが発表した物語。

「公爵はその当時、ウィーンに仮寓していたが、近年は落ち着きのない旅から旅への生活を送っているようだった。」

これは「サラディン公爵」について。
では、サラディン公爵はどのような服装なのか。

「白い山高帽、上着に刺した蘭の花。黄色いチョッキを着て、歩きながら黄色い手袋をひらめかしたり………」

サラディン公爵は、イエローのウエイストコートを着ているのですね。
当時、洒落者の間で、イエローの手袋が流行ったことがあります。おそらくそれに合わせるための、黄色いウエイストコートだったのでしょう。
どなたか身体にフィットしたイエローのウエイストコートを仕立てて頂けませんでしょうか。

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