アイルランドは、アイリッシュのことですよね。「アイリッシュ・ハープ」なんていうではありませんか。
ハープのあの独特の姿は、アイルランドの象徴にもなっています。たとえば、ギネス。ギネスの壜にはハープが描かれているでしょ。あれもまた、アイルランドを表しているのですね。
ひと昔前には、アイリッシュ・リネン。アイルランド製リネンは上質とされたものです。またレエスが栄えた国でもあります。アイリッシュ・レエス。
そしてまた、アイリッシュ・ウイスキイ。アイルランドでのウイスキイの歴史は古くて。スコットランドのウイスキイの源はアイルランドのウイスキイである。そんな説もあるほどに。
1172年に、アイルランドに攻め行ったイングランド兵は、アイルランド兵が「命の水」を飲んでいることを発見したと、伝えられています。「ウイスゲ・ベアサ」を。
「命の水」は単なる形容ではなくて、当時のアイルランド人の健康を保つための薬でもあったらしい。毎朝、一杯の命の水は、一日中身体を温めてくれたので。
その時代の「命の水」は、少なくとも50度くらいだったと考えられています。
昭和十一年に、アイルランドを旅したお方に、斎藤清衛がいます。斎藤清衛は、優れた国文学者。明治二十六年のお生まれ。
「私はペッピーに魚の料理を命じておいたら、鰈のフライとサラダを作っておいてくれた。」
斎藤清衛は紀行文の中にそのように書いています。ここでの「ペッピー」は、ウインクロウの宿「グランド・ホテル」の給仕女の名前なのですが。このベッピーの話す言葉はゲール語で、thの発音が「t」の音に聞こえたとも書いています。
「ゲール語は美しくて音楽的な言語だ。その自然のリズムは、のんびりとしていてとりとめがない。」
ジョセフ・オコーナー著『ダブリンUSA』に、そのように書いてあります。著者のジョセフ・オコーナーは、1963年に、ダブリンに生まれているのですが。「オ」ではじまる姓は、アイルランドに特徴的であります。
アイルランドには世界一長い名前の村があるんだそうですね。私はこのことを守安 功著の『愛蘭土音楽紀行
』で、教えてもらいました。
「ランフェアプルウイングロガリイッチウイルンドロウイリアントシリオゴコッフ」
これで、ひとつの単語。村の名前であり、駅の名前でもあります。たしかに短い名前ではありませんよね。
守安 功の『愛蘭土音楽紀行』には、多くの音楽家の写真の載っているのですが。その中のひとつに、「ボディ
」の一枚をあります。ボディは、フィドラーの演奏者。ボディは、グリーンをベースにしたアーガイルの丸頸スェーターを着ています。
その昔、アイルランドにもアーガイルに似た模様があったのでしょうか。
どなたか正当のアーガイル・スェーターを編んで頂けませんでしょうか。