プリンスとプラッド

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プリンスは、王子のことですよね。「皇子」と書くこともあります。次の時代にキングになることが約束されているお方のこと。
日本なら、「皇太子」ですね。Prince と書いて、「プリンス」と訓みます。
王子ですぐに想い浮かべる物語に、『幸福な王子』があります。英国の作家、オスカー・ワイルドが書いた童話。

「王子の像は全体がみごとな金箔でおおわれていて、その目はキラキラかがやくふたつのサファイアでできていました。その剣のつかのところには大きな赤いルビーがついていました。」

オスカー・ワイルドの『幸福な王子』は、そんなふうにはじまります。そのうちに王子はいつも遊びにきてくれるツバメと仲良くなって。ツバメは町のいろんな話を聞かせてくれます。町には、恵まれない人もいるんだとか。
王子はツバメのそんな話を聞くと、身体につけてあるルビーやサファイアやダイヤモンドを恵まれない人に運んでもらうのです。それで、『幸福な王子』の題になっているのでしょう。

王子が出てくる小説に、『星の王子さま』があります。フランスの作家、サン=テグジュペリの物語。原題は、『ル・プティ・プランス』。フランスでは、1945年11月30日に、「ガリマール」から発行されています。
フランスではというのは、いくつかの事情から、その前にアメリカで出版されているので。1943年のこと。
『星の王子さま』の魅力のひとつは、挿絵。多くの挿絵が添えられています。この挿絵もまた、サン=テグジュペリの手になるものです。
というよりもサン=テグジュペリは絵を描くのも好きで。絵を描いているうちに生まれたのが、『星の王子さま』。そう言っても大きな間違いではないでしょう。

「すると、どうでしょう、おどろいたことに、夜があけると、へんな、小さな声があるので、ぼくは目をさましました。」

『星の王子さま』は、そんなふうにはじまります。これは物語の語り手が、砂漠に不時着した時、一夜明けての話として。
『星の王子さま』は、大好評。少なくとも百以上の言語に翻訳されているほど。
世界中で人気のある物語になっています。今、箱根に行きますと、「星の王子さまミュージアム」があります。星の王子の博物館。世界でも珍しいのではないでしょうか。
サン=テグジュペリがどんな時代に、どんな場所で生きたのかがよくわかる展示になっています。

その昔、日本には、「プリンス」という名前の自動車があったものです。昭和二十六年の登場。当時「たま自動車」から発売されています。たま自動車は後の「日産自動車」なのですが。たぶん王子さまが乗るにふさわしい自動車の、想いがあったのでしょうね。

王子。イギリスだけは、「プリンス・オブ・ウエールズ」と呼ぶことになっています。
これは1301年にはじまった慣習なのです。
当時、エドワード一世が、ウエールズ地方を平定。でも、まだ、ウエールズ地方には、不満分子が残っていた。
たまたま、そんな時に王子が誕生。エドワード一世は、生まれたばかりの王子を抱いて、カーナボーン城のベランダに立って。
「見よ、この子こそ、プリンス・オブ・ウエールズであるぞよ」と、宣言。これによって不満分子の気持も和らいだと伝えられています。

「すなわち、王位継承者であるプリンス・オブ・ウエールズは、ここにおいて、その称号の叙任を公式に受けるのである。」

『大英国』を著した、フランスの英国史研究家、ルイ・カザミアンは、そのように書いています。
「ここにおいて」とは、むろん、ウエールズのカーナボーン城のことなのですが。
また、ルイ・カザミアンの『大英国』には、スコットランドの話も出てきます。

「背中に投げかけられた大きなボタンによって肩の上でとめられているマントすなわち「格子柄の肩掛け」(plaid) 」

これはスコットランドの民族衣裳の説明なのです。ここに「大きなボタン」とあるのは、「バッジ」のことかと思われます。
それはともかく、スコットランドでの「肩掛け」の部分を、「プラッド」と呼んだのです。このプラッドはまず例外なく格子柄なので、「プラッド」の意味が拡げられたのでしょう。
どなたかプラッドの上着を仕立てて頂けませんでしょうか。

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