竪琴は、ハープのことですよね。
竪琴の歴史も古いんだそうです。
古代エジプトの、ラムセス三世の古墳からも、今でいう竪琴が発見されているそうですから。
竪琴が出てくる物語に、『ビルマの竪琴』があるのは、言うまでもありません。
『ビルマの竪琴』の作者は、竹山道雄。
昭和二十二年『赤とんぼ』三月号から、連載がはじまっています。
『赤とんぼ』は当時の少年少女向けの雑誌。つまり、
『ビルマの竪琴』は最初、童話としてかかれた物語だったのですね。
竹山道雄はなぜ『ビルマの竪琴』を書いたのか。
それは竹山道雄が「一高」の先生だったことと関係があります。
戦争中。教え子たちが、戦場に。
竹山道雄の想いとしては、静かなる反戦の姿勢があったのです。
「こうして本を引き出してからは、なるべくゆっくりとして息のつづく曲をえらびました。このときうたったのは「庭の千草」と「はにゅうの宿」でした。」
『ビルマの竪琴』には、そんな一節が出てきます。
兵隊たちが歌うと、敵兵も一緒になって歌った、と。
このとき、竪琴を弾いたのが、水島上等兵なのですね。
「竹山君にはその翌年の二月にローマで逢った。」
和辻哲郎は、昭和二十五年に書いた随筆の中に、そのように出ています。
昭和二年、竹山道雄はドイツのベルリンに留学。その時、偶然、和辻哲郎と出会っているのです。
竪琴が出てくる戯曲に、『エルナニ』があります。
1830年に、ヴィクトル・ユゴーが発表した芝居。この中に。
「二十歳の詩人が没し、竪琴がこわれ、一つの未來が消えるのは悲しいことに違いない。」
これは1829年に、二十二歳で世を去った友人、シャルル・ドヴァルを指しているのですが。
また、『エルナニ』にはこんな科白も出てきます。
「赤い踵の靴も、赤帽子も存在しない。」
赤い踵は貴族、赤帽子は庶民の象徴。
どなたか赤い踵の靴を作って頂けませんでしょうか。
踵は、フランス語で、「タロン」talon でしょうか。