大正は、日本の年号にもありますよね。
明治がありまして、大正がありまして、昭和がありまして。
大正元年から、大正十五年までの間が、大正時代。ざっと十五の年号だったわけですね。
「大いに正しい」と書いて「大正」ですから、良い名前でもあるのでしょう。
大正は明治に較べて、モダンな時代。
「モボ」、「モガ」が生まれたのも、大正時代。
モダン・ボーイを短くして「モボ」と呼んだのですね。
大正十四年三月二十二日にはじまったものに、ラジオ放送があります。
「アー、アー、聞こえますか?」
これが第一声だったとのことです。
永 六輔著『芸人たちの芸能史』に出ている話なのですが。
大正とつく楽器に、大正琴があるのは、ご存じの通り。
本式の琴を簡略にした形なので、大正琴。
「たいしょうごと」とも「たいしょうきん」とも訓みます。
大正のはじめ、森田五郎が発明したと考えられています。
大正琴はふつう、二弦。それもピアノの弦が張ってあって。それを専用のピックで弾くようになっています。
大正二年は、西暦の1913年のこと。
1913年には、ヴィヴィアン・リーと、ジャン・マレエとが生まれています。
日本では、森繁久弥が同い年。
大正三年は、1914年。タイロン・パワーが生まれ、
宇野重吉が誕生。
大正四年が、1915年。
イングリッド・バーグマンとフランク・シナトラが同じ年の生まれ。
日本では、水ノ江滝子が。
大正五年は1916年。グレゴリー・ペックと有島一郎が。
大正五年の流行歌が、『君知るや南の国』だったそうですね。
永 六輔の『芸人たちの芸能史』を読んでおりますと。
「絶唱タイプの布施明。この年の流行のタートル・ネックのタキシード、」
そんな一行が出てきます。
「この年」とは、昭和四十三年の紅白歌合戦でのこと。
布施 明の衣裳はタキシードに合わせた絹のタートル・ネックのシャツだったのですね。
当時はタートル・ネック式の礼装用シャツが流行ったもの。
どなたか礼装用のタートルネック・シャツを仕立てて頂けませんでしょうか。