ダイアモンドはもっとも美しい石なんでしょうね。
ダイアモンドにもいろんな種類があるらしくて。たとえば、「クルップ・ダイアモンド」。クルップ・ダイアモンドはリチャード・バートンがエリザベス・テイラーにプレゼントしたもの。それは素晴らしいダイアモンドで、33,19カラットであったそうです。
ある時、ロンドンで盛大な結婚式があって、エリザベス・テイラー出席。と、たまたまマーガレット王女の隣の席になるんですね。
ここで急いで言い添えておきますと。エリザベス・テイラーは、ロンドン生まれ。もっともお父さんもお母さんもアメリカ人ではありましたが。
ええと、マーガレット王女の隣の席の話でしたね。マーガレット王女はリズの手の指輪に目をとめて、言う。
「まあ、それがあの有名なクルップ・ダイアモンドなんですか? 大きいんですね。」
リズは指輪を外して、マーガレット王女に見せてあげたという。まあ、それくらい美事なダイアモンドだったんでしょう。
リズのダイアモンドといえばもうひとつ。「テイラー・バートン・ダイアモンド」があります。やはりリチャード・バートンがリズに贈ったので、その名前があります。エリザベス四十回目の贈物として。
テイラー・バートン・ダイアモンドは、洋梨の形をしていて、Dクラス。89,42カラット。ちょっと目がまわりそうな大きさ。
テイラー・バートン・ダイアモンドは、1969年にオークションに出される。その時の値段、百万ドルであったという。それを落としたのが、カルティエなんですね。
ダイアモンドがエリザベスを好きだったのか、それともエリザベスがダイアモンドを好きだったのか。
エリザベス・テイラーが世を去った後で。ある専門家がリズの宝石類を鑑定したところ。一億五千ドルと推定。
そのエリザベス・テイラーが好演した映画に、『熱いトタン屋根の上の猫』が。1958の名画。リズは主役のマギーを演じる。相手役は、若き日のポール・ニューマン。
『熱いトタン屋根の上の猫』の原作は、テネシー・ウイリアムズ。1955年の発表。もちろん、最初は戯曲。その第一幕に、マギーが夫のブリックにこう言う場面があります。
「ブリック、あのローマでつくらせた山東絹の取っておきの背広ー あれ、出しといたわ、あたし……」
「山東絹」。たぶん、シルク・シャンタンのことでしょうね。シャンタンはダイアモンドのようには光りませんが。男の服としてはダイアモンドほどに貴重なものでもありますが……。