トスカとブーツ

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『トスカ』は有名ですよね。ジャコモ・プッチーニの歌劇。プッチーニは悲劇の名手でもありまして。
『トスカ』、『ラ・ボエーム』、『マダム・バタフライ』。プッチーニの代表作ぜんぶ悲劇なんですね。
『トスカ』はもともと芝居で。これを作ったのが、ヴィクトリアン・サルドゥ。フランスの戯曲家ですね。ヴィクトリアン・サルドゥ作の『トスカ』をミラノで観たのが、プッチーニ。プッチーニはなんとしても『トスカ』をオペラにしたい、と。1889年のこと。
余談ではありますが。ヴィクトリアン・サルドゥはファッションとも関係がありまして。帽子に、「フェドーラ」がありますよね。フェドーラはサルドゥの芝居、『フェドーラ』の主人公の名前からきているんですね。
さて、プッチーニの『トスカ』。『トスカ』の初演は、1900年1月4日。ローマの「コンスタンツェ劇場」で。数多くの作曲家が聴衆の中に。それから、マルゲリータ王妃もご臨席で。
そうです、今もピッツァに名を遺す、あのマルゲリータ王妃が。
「バジリコは緑、モッツァレラは白、トマトは赤。まるでイタリアの国旗みたいね。」
マルゲリータ王妃がそう言ったんだそうですね。
それはともかく、『トスカ』が出てくるミステリに、『ロシアの恋人』が。ロバート・リテルが、1991年に発表した物語。この中に。

「ベンは女のほうへ顔を向けて、ロシア語で話しかけた。「『トスカ』ですね。第二幕、第二場だ。」

ベン・バセットは、アメリカの外交官という設定。もちろん場所は、ロシア。また、こんな描写も。

「分厚いL・L・ビーンのハンティング・ブーツの靴底からロシアが染みいり、引力のように大地にひっぱられるかもしれない、と。」

これもベン・バセットの履いているブーツのことなんですね。アメリカ、メイン州、L・L・ビーンのブーツはよく考えられています。
なにかブーツを履いて、『トスカ』を聴き行くとしましょうか。

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