スクランブルとブルー

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スクランブル・エッグというのがありますよね。
卵さえあれば、簡単にできます。それに、失敗があんまりない。で、食べて、美味しい。スクランブル・エッグ、好きです。
スクランブル・エッグのひとつに、チーズ入りというのがあるんですってね。ブリア=サヴァランの『美味礼讃』に出ているんですが。
人数分の卵を割りいれて、よくかき混ぜる。これにバターを少し。さらに、グリュイエール・チーズを加える。グリュイエール・チーズは、削って入れる。ブリア=サヴァランはこのチーズ入りスクランブル・エッグを、フランスの美食家、ムッシュー・トロリエに教えてもらったと、書いています。
ブリア=サヴァランの時代はフランス革命期でもあって。サヴァランも王党派とみられて、身の危険が。1792年に。ドイツのケルンへ逃れる。が、ケルンにも追手がやって来るようになって。で、スイスへ。スイスからさらにアメリカに。
ブリア=サヴァランが、アメリカのボストンに居たとき。その頃のボストンに「ジュリアン」という有名なレストランがあった。
ブリア=サヴァランはこのレストランの主人、ジュリアンに「チーズ入りスクランブル・エッグ」を伝えるんですね。「ジュリアン」では早速これをメニューに載せて、大好評。
その後、ブリア=サヴァランはしばらくNYに住んでいます。ボストンのジュリアンはお礼の気持なんでしょう。時期になると仔鹿の肉を送ってきたという。
ブリア=サヴァランは食通だけを招いて手料理による仔鹿をふるまったそうです。スクランブル・エッグで仔鹿を釣った話でしょうか。
スクランブル・エッグが出てくるミステリに、『報復の鉄路』が。ジャック・ヒギンズが2002年に発表した物語。

「料理はスクランブル・エッグ、スモーク・サーモン、玉葱のザク切り、トマト・サラダ。」

これは英国人の、ハリー・ソルターがレストランで注文している場面。また、こんな描写も。

「高級な濃紺のフランネルのスーツが堂々とした印象を与えた。」

これはアメリカ人、ルパート・ダーンジーの着こなし。
ブルー・フランネルのスーツ。いいですね。なにか、ブルーのスーツを着て。美味しいスクランブル・エッグを食べに行くとしましょうか。

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