ナポレオンとスーツ

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ナポレオンはもちろん、ナポレオン・ボナパルトのことですよね。ナポレオン・ボナパルトはある時、こんなことを言ったそうです。
「人は着ている制服通りの人間になる。そしてたいていの服は制服である。」
それはともかく、ナポレオンが軍服好きだったのは、間違いないようですが。
1801年に。ナポレオンは公文書優遇策を取ろうとして。つまり民間の郵便物を規制する法律を。
もしこの法律が出されると、レストランが困る。地方からの食材がパリに入って来なくなる。このナポレオンの法律に反対したのが、カンバセレス。ジャン・ジャックレジ・ド・カンバセレスは、当時、ナポレオンの右腕と言われた人物。すぐにナポレオンの自宅に行って、こう言った。
「思う料理が出せなくて、はたして政治ができるでしょうか。政治とは食卓で行うものではありませんか。」
この言葉によって、ナポレオンは譲歩したんだそうです。カンバセレスは食通でもあって。贔屓にしたのが、「ロシェ・ド・カンカル」。新鮮な牡蠣を出すことで有名だったレストラン。もちろん、カンカルから牡蠣を送らせていたわけですね。
「ロシェ・ド・カンカル」はあのバルザックもよく通った店なんだとか。ある時、バルザックはヴィクトル・ユゴーとともに、食事。それも「ロシェ・ド・カンカル」だったそうです。
1843年7月19日。バルザックはパリを立って、ダンケルクに。ダンケルクから、サンクト=ペテルブルクヘ。愛するハンスカ夫人に会うために。
このためにバルザックは、「ビュイッソン」でスーツを仕立てています。「ビュイッソン」はジャン・ビュイッソン経営の、当時パリ第一の仕立屋と謳われた名店。一着、800フランだったそうですが。
とりあえずスーツを着て、ナポレオンの伝記を探しに行くとしましょうか。

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