チャンドラーで、ミステリで、といえば、レイモンド・チャンドラーでしょうね。
レイモンド・チャンドラーは1939年の『大いなる眠り』を手はじめに。七つの長篇を完成させています。もちろんそれ以外にも、多くの文章を遺しています。たとえば、『推理小説についての十二の覚え書』とか。
『推理小説についての十二の覚え書』は、チャンドラー自身が推理小説をどんなふうに考えていたのか。それを知る上での参考になるでしょう。また、読み方によっては、これから推理小説を書いてみよう、という人の副読本でもあるでしょうね。
たしかに十二章ではあるのですが、長い。しかも『補遺』があって、これは十三章。ここにぜんぶは紹介できません。そこで、ちょっとさわりだけを。
① 論理性。
推理小説はかならず論理的ではなくてはならないと、まずはじめに書いています。
② 精確性。
③ 明快性。
④ 現実性。
⑤ 物語性。
⑥ サスペンス性。
⑦ 快活性。
⑧ 整合性。
⑨誠実性。
10 納得性。
11 洗練性。
12 倫理性。
倫理性とは、犯罪者はしかるべく裁かれなくてはならない、というものです。
さて、これで少しは推理小説を書いてみる気持になりましたか。
チャンドラーが出てくる推理小説に、『『間違いの悲劇』が。1999年に、エラリー・クイーンが発表した物語。
「これはレイモンド・チャンドラーのことですが ー フィリップ・マーロウの創造者として大変な人気を博しています。」
もちろん、エラリー・クイーンの科白として。また、こんな描写も出てきます。
「そして、太い金の時計鎖を下げた錦織のベストを着ている。」
これは「ミスターB」という人物の着こなし。「錦織」。あるいは、ブロケードのことなんでしょうか。
なにかお気に入りのヴェストで。チャンドラーの古い本を探しに行くとしましょうか。