イヴとローファー

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イヴでモードでといえば、イヴ・サン=ローランですよね。
イヴ・サン=ローランが生まれたのが、アルジェリア。仏領アルジェリア。フランス風にいえば、アルジェ。イヴ・サン=ローランは1936年8月1日に、アルジェのオランに生まれています。
オラン Oran は「一対の獅子」の意味なんだそうです。同じくアルジェに生まれたのが、カミュ。フランスの作家、アルベール・カミュ。カミュはオランではありませんが、オランの近くに生まれています。
故き佳き時代のオランのことを知るには、カミュを読むに限ります。たとえば、『結婚』。これはアルベール・カミュの、初期の随筆集です。
カミュの時代にはオランの、ガリニエ大通りに、靴磨き屋が出たという。ここで靴を磨いてもらうのが、オランの洒落者の愉しみだったそうです。この靴磨き屋は靴磨きに誇りを持っていて。丁寧この上もない。何種類もの布と薬品とを使い分けて、磨く。客を高い椅子に座らせて。磨いて磨いて、完成かと思ったら、またはじめからやり直して、際限がない。でも、最後には漆のように光りはじめる。アルベール・カミュはそんな風に書いています。
また、オランの映画館に行くと、ミント・キャンデーを売っている。そのミント・キャンデーには、赤い文字で「いつ結婚してくれる」と書いてあって。そのミント・キャンデーを男の子が女の子に渡して、ドギマギするのが、愉しかったとか。
それはともかく、アルベール・カミュがアルジェやオランに、深い愛情を抱いていたのは、間違いないでしょう。
アルベール・カミュが代表作の『異邦人』を発表するのが、1936年。イヴ・サン=ローランが誕生した年でもあります。『異邦人』はマルチェロ・マストロヤンニの主演で、映画化もされています。
1936年に生まれたのが、スティーヴン・グリーンリーフ。スティーヴン・グリーンリーフが1982年に発表したのが、『共犯証言』。この中に。

「ストライプのシャツに白いスラックス、バーガンディ色のローファーという装いでソックスははいていなかった。」

これは、エリオット・ファーンズワースという人物の着こなし。「バーガンディ色」ということは、ワイン色なんでしょうね。時にはワイン色のローファーを履いてみたいものです。

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