ブーダンは、美味しいものですよね。「黒いソーセージ」と言っても、そう遠くはないでしょう。ほんとうは「ブーダン・ノワール」と言うんだそうですが。もっとも、「ブーダン・ブラン」、白いのもあるらしいのですが。
ブーダン・ノワールは自分ん家でというより、なにかビストロやレストランに行った時、ふっと食べたくなるものかも知れませんね。
そうそう、レストランといえば。1765年頃にはじまったとの説があるんだとか。もちろん、フランスで。
その頃、パリに、リュ・プーリという通りがあって。今の、リュ・ルーヴル。ここに、シャン・ドワゾーなる人物が住んでいた。
そのシャン・ドワゾーが居酒屋を開いて。「ブイヨン・レストラン」という濃厚なスープを出した。シャン・ドワゾーの店の前には、こう書いてあった。
「空腹なる者よ、皆ここに来なさい。私が癒してあげましょう。」
このブイヨン・レストランは滋養たっぷりで、「元気回復」となったから、「レストラン」。つまり最初は、料理の名前だった。で、ブイヨン・レストランを出す店を、「レストラントゥール」と呼ぶようになって。やがては、「レストラン」に。
それはともかく、ブーダンの出てくる小説に、『 火山の下』があります。1947年に、マルカム・ラウリーが発表した物語。ただし物語の背景は1939年のメキシコに置かれているのですが。
「 ー ジャック、ほらブダンだよ ー 」
これは少年たちがみんなで食事をしている風景。また『火山の下』は、二人の男がテニスをした後の光景からはじまる物語でもでもあります。
「白いフランネルのズボンをはいた二人の男がカジノの正面テラスに座ってアニスを飲んでいた。」
少なくとも1930年代までの、ホワイト・フランネルズは、テニスをはじめ競技用の衣裳という印象があったようですね。
もちろん今では、ビストロにブーダン・ノワールを食べに行くにも穿けるものですが。