ブラウスとブレスレット

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ブラウスは、艶めかしいものですよね。ブラウスには白をはじめとして、いろんな色があります。でも、なぜか「赤」の印象が強くあって。これはたぶんむかしの流行歌と関係があるのかも知れませんが。

♬ あの娘可愛や カンカン娘
赤いブラウス サンダルはいて……………。

もちろん『銀座カンカン娘』の歌い出しであります。昭和二十四年の、同名の映画の主題歌。映画もさることながら、それとは別に、歌としてとても流行ったものです。作詞は、佐伯孝夫。作曲は、服部良一。映画の中で歌ったのは、高峰秀子。高峰秀子は、歌の意味もほとんど分からないままに、歌っていたという。
英語のブラウスは、たぶんフランス語の、「ブルーズ」 blouse から出ているのでしょう。このブルーズは、ラテン語の「ブーラ」 bulla と関係があるらしい。「ブーラ」は、「泡」の意味だった。「ブルーズ」は「ブルゾン」とも無関係ではなくて。そのふくらんだ形が「泡」を想わせるからでしょうか。ブラウスが出てくる詩に、『五月の夕』があります。十九世紀、フランスの詩人、シャルル・クロスの詩。訳詩は、堀口大學。

すきとほつて見えるブラウスに胸を包んで…………………

この場合の「ブラウス」は、何色なんでしょうか。シャルル・クロスは詩人であると同時に発明家だった人物。たとえば、人工ルビーをも発明しています。ルビーなら赤で、ここでもつい赤を連想させてしまうのですが。
ブラウスが出てくる小説に、『女であること』があります。川端康成が、昭和三十一年に発表した物語。

「このブラウスは大好きでも、まだブラウスだけでは寒さうやし…………………」。

これは「さかえ」という女性の科白なんですが。また、『女であること』には、こんな描写も出てきます。

「だいだい色のスエドの細いひもも、金の色に合つて、ブレスレットのやうでもあつた。」

これは「音子」が、「さかえ」に腕時計を渡す場面。つまり時計についているブレスレットなんですね。
それはそれとして。なにか金の、洒落たブレスレットを、ひとつ欲しいものですね。赤いブラウスに負けないくらい美しいブレスレットが。

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