フェイスは、顔のことですよね。もちろん、face と書きます。顔があってこその人間で、顔がないと透明人間になってしまうでしょう。
「ニュウ・フェイス」という言葉もあれば、「フェイス・トゥ・フェイス」の言い方もあります。また、「アット・ザ・ファースト・フェイス」と、言ったりもするんだとか。これは「ちょっと見たところでは」の意味になるんだそうですね。
日本でも、「顔が広い」なんてことを申します。「顔が売れている」とか。さらには、「顔パス」なんて表現もあるようですね。
フェイスはフェイスなんですが、もうひとつのフェイスがあって。こちらの「フェイス」は、
faith と書くんだそうですが。とりあえず「信頼」の意味になるそうです。顔の「フェイス」と、信頼の「フェイス」と、どのように発音が違うのか、私にはわかりませんが。
でも、「バイ・フェイス」は、「誓って」の意味になるんだそうです。キリスト教のほうにも、「フェイス、ホープ、アンド、チャリティ」の表現があるんだそうですね。もちろん、「信・望・愛」を示す言葉。あるいはまた、「ピン・ヒズ・フェイス・オン・ヒズ・スリーヴ」の慣用句もあって。中世の男は、上着の左袖にピンを挿すことがあったらしい。
愛する女性がくれた金のピンを挿すことは、命をかけてでもその女性を守る心意気のあらわれだったという。
フェイスがあれば、フェイスレスもあるわけで。ジョイス・キャロル・オーツのミステリに、『フェイスレス』という題があります。邦題は、『神の思し召し』。この中に。
「スーツ用の上着を、しかも渋い青みがかったグレーの、“上質の” ウールの上着を着て……………」。
この時代背景は、1923年4月12日と設定されているのですが。「上質のウール」。たぶん「ファイン・ウール」のことでしょう。ごく簡単に言って、糸が細いのです。それで織ると、より薄く、よりしなやか肌ざわりとなります。
このファイン・ウールの説明には、ある程度は信頼していただいても、よろしいかと………。