アイリッシュとアラン・スェーター

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アイリッシュは、アイルランドのことです。アイルランドにもたくさん美味しいものがありそうですが。たとえば、アイリッシュ・シチュー。
日本に肉じゃががあるように、アイルランドにはアイリッシュ・シチューがあります。ただし、マトンがよく使われるんだとか。
マトンと、ポテト、にんじん、玉ねぎなどをグツグツ煮るところは、日本の肉じゃがに、そっくり。「おふくろの味」とされるところも、そっくり。アイルランドではアイリッシュ・シチューに、アイリッシュ・ウイスキーを添えるんでしょうが。
アイルランドはユウモアを解する国でもあるらしく。「アイリッシュ・ブル」というのがあります。アイリッシュ・ブルは、矛盾した冗談、笑いのこと。
たとえば、手紙を書く時、その末尾に。
「もしこの手紙が届かない場合には、ご連絡ください。」
手紙が着かないなら分からない。だから連絡はできない。こんなあり得ない話をわざとするのが、アイリッシュ・ブルの特徴なんだそうです。
「わが社で作る葉巻はすべて輸入品であります。」
輸入品なら外国で作るはずなのに………………。まあ、そこがアイリッシュの面白いところなんでしょう。
アイリッシュが出てくるミステリに、『血の商人』があります。

「十七歳のとき、おやじの≪アイリッシュ・ヘラルド≫を手伝いはじめた。」

これはジャーナリストの、スティーヴン・ハガティの述懐。また、こんな描写も出てきます。

「シャワーを浴び、ハイネックのアラン編みのセーターに黒いコーデュロイのズボンをそそくさとはき………………。」

もちろんこれも、ハガティの様子。
たぶん、アラン・スェーターなのでしょう。アラン・スェーターで、アイリッシュ・シチュー。悪くないですねえ。

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